「生涯現役のトレード日記」
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知識<技能<技術<悟りへ 03月28日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -155.09 @42,299.70, NASDAQ -94.99 @17,804.03,S&P500 -18.89 @5,693.31)。ドル円為替レートは150円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が150に対して、下落銘柄数は1,435となった。騰落レシオは109.34%。東証プライムの売買代金は4兆4761億円。
TOPIX -58 @2,757
日経平均 -680円 @37,120円
米国では、前日にトランプ米大統領がすべての国からの自動車・エンジン・トランスミッションなどについて米国への輸入に25%の追加関税を課し、日本時間で4月3日午後1時1分に発動すると発表していた。これにより景気が悪化し、物価は上昇し、貿易摩擦はさらに激化するとの懸念が強まった。その結果、株価は売り優勢となり主要3株価指数は揃って続落した。
関税は「諸刃の剣」であり、非米国企業だけなく、メキシコに工場を持つGMやフォードにも悪影響を与える。GMは米国で販売する車の約5割を、フォードは約2割をメキシコから輸入しているからだ。関税の影響で販売価格は価格は5,000~10,000ドル以上上がると見積もられており、多くの消費者には手が届かない価格となり新車の販売は激減するだろう。その分、中古車へ需要が高まりそうだ。GMの株価は7%強下げ、フォードは4%近く下げた。
本日3月28日の東京市場では、トランプ政権の自動車輸入に対する25%の追加関税発動により続落した米国株式相場の流れを受けて、トヨタ自動車をはじめとする自動車株やと東京エレクトロンやアドバンテストなどのハイテク株、ファーストリテイリングなどの値嵩株を中心に幅広い銘柄が売りに押された。日経平均の下げ幅は一時900円を超え、節目となる37,000円台を割り込む場面もあった。それでも、下値では押し目買いも入り、大引けにかけて下げ幅を縮小して終えた。
米国からの悪い流れに加えて本日は配当権利落ち分だけで307円ほど下げる理由もあり、下げる理由が重なった。さらに、EU(欧州連合)が米国からのサービス輸出に対して報復措置を取るとの報道もあり、貿易戦争が激化することにより世界経済の減速が警戒された。まだ他にも悪い材料があった。日銀の追加利上げ観測を強めるような経済統計が発表された。3月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)が生鮮食料品を除く総合指数で、前年同月比の伸び率が市場予想を上回ったため、日銀が追加利上げし易い環境となってきた。まだある。18~19日に開催された日銀の金融政策委決定会合での「主な意見」が公表された。その中で、政策委員から「金融政策委の姿勢を従来の緩和から中立に転換させる点も含めて検討していく必要がある」との意見が示されたことが分かった。
本日のトヨタ自動車の下げ幅は注目を集めた。日経平均は前日比679円(1.8%)の下げに対して、トヨタ自動車は前日比141円50銭(5.0%)安の2,687円まで売られた。トヨタは米国で販売する車の5割近くを米国内で生産しているにもかかわらずである。配当権利落ち分を除いても実質3%強の下げとなった。第一生命経済研究所の試算によれば、米国の25%の追加関税により、関税がそのまま販売価格に転嫁されると仮定すると平均自動車価格は8%上昇し、米国の自動車販売額は12%減少すると予想される。関税は日本から輸出する自動車会社の収益性を下げるだけに終わらず、米国の自動車市場そのものを縮小させる効果もある。全米の自動車販売台数は現在の1600万台ら320万台減少するとの試算もある。その結果、野村證券の見積もりでは、トヨタ自動車の営業利益は5兆360億円の見通しから3兆6400億円へ3割減益となる。マツダに至っては、1,360億円の黒字から2,800億円の赤字に転落すると予想される。
日経平均の日足チャートを見ると、大きく窓を空けて急落して始まった後、さらに下げ幅を拡大して下げた。大引けにかけて下げ幅を縮小して下ひげを引いた。昨日は機関投資家による配当再投資と個人投資家による配当権利取り狙いの買いが、米国による輸入自動車に対する25%追加関税発動の衝撃をかなり吸収していた。しかし、本日はそのセーフティ・ネットが外れ、予想通り急落した。これくらいで終わると考えない方が良い。期限のない恒久関税であり、自動車は27.5%、トラックは50%の関税なので、これから4年も続けばその衝撃は凄まじいものとなるはずだ。ただし、トランプ大統領の常套手段で、取引のための道具に過ぎないとも考えられるので、ある日突然、発動停止と発表する可能性がないわけではない。チャートの左側を見ると、目先の下値支持線として意識されそうな価格は、3月14日のザラバ安値@36,594円である。
一応、株価の予想をするのは構わないが、その予想に縛られてはいけない。予想は常に外れるかもしれないと自分自身に言い聞かせておく必要がある。その上で予想が外れた時には何をどうするかを事前に決めておき、それが実現した時には一瞬たりとも逡巡することなく、事前に決めておいた通りに動くことが肝要である。これは単に「知識」がある、「物知り」だけの人にはできない。そういう人は評論や分析レポートは書けて自分では実践により成果を出すことはできない。それを無意識に自覚しているから評論家やアナリストを職業としているとも言えるが。
実践で成果を出し続けるには、体系的な知識はもちろんのこと、その知識を適切に行動に転換できるかどうかの「技能」が絶対に必要である。体系的な「知識」に裏付けられた「技能」を磨き続けると、やがてそれは「技術」、つまり「生涯現役の株式トレード技術」となる。一度修得した技術はそれ以降生涯輝き続けて、生涯「お金の不安」から解放される。その解放された時間とエネルギーを自分が今世で本当にやりたいことに向けるのである。私の場合は「宇宙の究極的真理の探究」とその副産物である「悟り」である。孔子は論語の中で
朝(あした)に道(みち)を聞(き)かば夕(ゆう)べに死(し)すとも可(か)なり
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/kotowaza02
と説いている。私もまったく同じ思いを学生時代から抱いている。これが私のライフワークである。皆さんのライフワークは何ですか?
33業種中すべての業種が下げた。下落率トップ5は、証券(1位)、海運(2位)、鉄鋼(3位)、輸送用機器(4位)、銀行(5位)となった。
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米国の高関税発動発表にもかかわらず本日の日本株は耐えたが・・・ 03月27日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -132.71 @42,454.79, NASDAQ -372.84 @17,899.02, S&P500 -64.45 @5,712.20)。ドル円為替レートは150円台前半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,051に対して、下落銘柄数は523となった。騰落レシオは114.36%。東証プライムの売買代金は4兆8465億円。
TOPIX +3 @2,815
日経平均 -227円 @37,800円
米国では、昨日東部時間午後4時に自動車輸入に対する新たな関税を発表するとホワイトハウスが発表した。これにより関税政策に対する警戒感が高まった結果、株式市場では売り優勢となり主要3株価指数は揃って反落した。引け後にトランプ米大統領がホワイトハウスで記者会見を行い、日本時間の4月3日午前1時1分発動で、すべての国から米国に輸入される自動車及びエンジンなどの基幹部品に追加で25%の関税を課すと発表した。期限も付かない恒久関税である。
本日3月27日の東京市場では、トランプ米大統領が輸入自動車に25%の追加関税を4月3日に発動すると発表したことを嫌気して自動車株は軒並み売られた。この追加課税が発動されると日本から米国への輸出は、自動車で27.5%へ、トラックで50%へ跳ね上がることになる。米国への輸出は即激減すること必至である。自動車株と半導体株を中心に売られ、日経平均は一時400円を超える下げ幅になった。ただ、本日は配当権利付き最終売買日だったので、機関投資家の配当再投資に加えて個人投資家を中心に配当狙いの買いが入り、下げを緩和したとみられる。そのため、27.5%~50%という高関税発動を前に、事の重大性を反映するほど日本株は下げなかったが、明日以降はこの下支えが消える。要警戒である。
本日は長期金利の上昇基調を反映して利ザヤ拡大が期待される銀行と保険が堅調だった。日本の自動車産業に決定的なダメージを与えるほどの高関税の発動発表にもめげず、本日の自動車株の下げ及び日本株全体は思っていたよりも小さかった。自動車産業は日本の基幹産業であり裾野が非常に広く、雇用者数も大きい。明日以降、時間の経過とともにその悪影響が認識され、株価を下押しするのではないだろうか。
国内長期金利(=10年物新発国債の利回り)が1.590%まで上げてきており、地銀を中心に保有債券の含み損が拡大しており、ロスカット目的の売りが大量に出ていると推察できる。その売りがさら価格を下げるため、逆に利回りは上がる、つまり、長期金利が上昇する。価格が下がるのだから割安と見てどこかの機関投資家が買い意欲を増しそうなものだが、今はそのタイミングではない。マーケットのコンセンサスでは、日銀の追加利上げが継続されそうな中、政策金利のターミナル・レートがどれくらいになるのかまだ読み切れない。長期金利では2.0%くらいまでは上がると見ているようである。もしその読みの通りなら、今の水準で長期国債を買うと買った途端に含み損を抱えることになる。だから、新規の買いは躊躇される。結局、ロスカット目的の売りを中心とした売り需要の方が買い需要を上回っているため、長期金利がじわじわと上がる上昇基調にある。
日経平均の日足チャートを見ると、ザラ場では下げて下向きの25日移動平均線を割り込んだものの、切り返して再び25日移動平均線の上に辛うじて戻り、下ひげを引いた短陽線で終えた。10日移動平均線は既に明確な上向きに転じており、上値抵抗線として意識される1月17日のザラバ安値@38,056円を明確に上抜けできるかどうかに注目している。目先の懸念事項はトランプ政権の関税政策がすべて出そろうまでの不確実性である。予定通りなら4月2日までには一応すべて出そろうはずだ。明日は配当権利落ちがあるので本日比ではほぼ確実に下げると予想している。ただし、明日の朝までにとても良い株価材料が飛び出した時は権利配当落ちを完全に相殺して上昇することもあるが。
33業種中21業種が上げた。上昇率トップ5は、保険(1位)、銀行(2位)、食料品(3位)、陸運(4位)、水産・農林(5位)となった。
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需給要因では大きな買い需要があるが・・・ 03月27日
昨日の米国株式相場は小幅続伸した(DJIA +4.18 @42,587.50, NASDAQ +83.27 @18,271.86, S&P500 +9.08 @5,776.65)。ドル円為替レートは150円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,212に対して、下落銘柄数は361となった。騰落レシオは112.85%。東証プライムの売買代金は4兆2602億円。
TOPIX +15 @2,813
日経平均 +247円 @38,027円
米国では、3月消費者物価指数が予想以上に悪化(92.9<予想93.5%)して景気の先行き不安が高まった。しかし、米10年債利回りが低下(4.315%<前日4.331%)し、トランプ関税を巡る過度の警戒感が和らいでいることが好材料となって主要3株価指数は揃って小幅続伸した。トランプ関税は「相互関税」について多くの国に減免措置を与える可能性について言及し、品目別については、自動車を対象に数日中に公表すると言った。しかし、半導体や医薬品については触れなかった。主要3株価指数は揃って小幅続伸した。
本日3月26日の東京市場では、前日の米国ハイテク株高を好感して、東京エレクトロンやファーストリテイリングなど値がさ主力株が上げた。日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。ただ、3月27日の配当権利付き最終売買日が目前に迫っているが、配当権利取り狙いの買いは既に一巡しており、自動車は米国の輸入関税が発表されると報道されたため手控えられた。また、銀行は引き続き利食い売り圧力に押し下げられ、軟調な動きだった。
国内債券市場では、長期金利が1.585%まで上昇した。これは2008年10月来の高水準である。日銀の植田和夫総裁は26日午前、衆議院金融委員会で食料品価格の値上がりについて「本当に一時的なものであれば、金融政策で反応すべきではない」と述べた。他方、「インフレが広がっていく可能性がある場合は利上げ対応も考えなくてはならない」とも述べた。結局、利上げするのかしないのかは明確ではなかった。今のところマーケットは日銀が追加利上げを実施すると予想している。しかし、ここ数日は銀行株は利食い売り圧力に負けて続落している。
外国為替相場に意識を向けると、もし、日銀が次の金融政策決定会合でも追加利上げを見送ると、現在1ドル=150円台のドル円相場はさらに円安ドル高方向へ振れる可能性が高い。そうなると、輸入物価が上昇し、追加利上げにより円安ドル高を止めるような政治的圧力がより強くなる。さらに、ただでさえ円安ドル高を日米貿易収支の不均衡の原因の一つと非難しているトランプ米大統領の神経を逆なでることになる。結局、日銀は追加利上げを選択せざるを得ないだろう。そうなると、どの銘柄が上がるか下がるか、連想ゲームを楽しもう。
3月28日には配当権利落ち日を迎える。機関投資家が配当金を実際に受け取れるのは6月の株主総会後となる。現金が振り込まれてから再投資するのでは、実際の運用実績と運用指標(配当込みのTOPIXや日経平均)との乖離(=トラッキング・エラー)が発生するためこれをできる限り避けたい。ではどうするのか。将来受け取ることになっている配当金相当額を株価指数先物であらかじめ買っておくのである。ある推定によれば、日経平均とTOPIXの両方で配当の再投資額合計は約1兆4000億円(日経平均は2,500億円、TOPIXは1兆1500億円)である。自社株買い(日本株市場で最大の買い主体)枠も影響力が大きい。野村證券の集計では2024年度の全上場企業の買い入れ枠の設定は16兆円(2023年度比7割増)だった。2025年度は伸び率は鈍化して17兆円となるが、絶対額は増加する。配当についても、2024年度は22兆7000億円(2023年度比22%増)、2025年度はさらに増加して24兆8000億円となる見通しである。自社株買いと配当を合計した総還元額は2024年度は38兆7000億円、2025年度は41兆8000億円へ増加する見通しである。需給要因だけでこれだけの買い需要がある。しかし、だからと言って順調に上昇し続けるわけではない。仮にトレンドとしては上昇基調を描くとしても、途中、何度も強い売り圧力が出てきて調整することが常である。さらに、誰も予想していなかったような大きな悪材料が突如飛び出して来て、世界の株式相場が急落することもある。未来に起こることの決めつけは厳禁である。
日経平均の日足チャートを見ると、反発して下向きの25日移動平均線の上に終値ベースで再浮上した。ただ、陰線引けなので上値では売り圧力が強いことを示した。明日3月27日は配当権利付き最終売買日なので、特に悪い材料がなければ買いが優勢となり、株価全般は上がりやすい。翌28日は理論的には配当権利落ち分だけ下げる。ただし、相場の勢いがあるとき、配当権利落ちで下げるどころか上がることもあるし、反対に強い下げ基調では、配当権利落ち以上に大きく下がることもある。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、その他製品(1位)、保険(2位)、非鉄金属(3位)、電気機器(4位)、倉庫・運輸(5位)となった。
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実際に起こっていることは「①業界環境の変化>②業績見通しの修正>③株価の変化」の順番 03月25日
昨日の米国株式相場は大幅上昇した(DJIA +597.97 @42,583.32, NASDAQ +404.54 @18,188.59, S&P500 +100.01 @5,767.57)。ドル円為替レートは150円台半ばの前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,008に対して、下落銘柄数は562となった。騰落レシオは105.86%。東証プライムの売買代金は3兆9340億円。
TOPIX +7 @2,798
日経平均 +172円 @37,781円
米国では、4月2日に発動されるトランプ関税を巡り、対象国と品目の適用が限定的なものになるとの期待が強まり、リスクオフ相場からリスクオン相場へ切り替わった。4月2日に発表予定の相互関税では、医薬品、半導体と自動車が入らない(遅れるだけで後日発動する)との見方が急浮上してきた。半導体や自動車を中心に買い戻されて主要3株価指数は揃って大幅高となった。フィラデルフィア半導体株(SOX)も3%近く上昇した。巨大ハイテク7銘柄であるマグニフィセント・セブンも揃って上げた。リスクオン相場なので、安全資産の代表格である米国債を売り、リスク資産の代表格である株を買う動きが加速した。10年債利回りは一時4.34%まで上昇した。ただし、気まぐれなトランプ大統領のことだから、リスクオン相場が安定的に長く続くとは思えない。マーケットの関心は4月中旬から本格化する2025年1~3月期決算発表に徐々に移っていくだろう。主要500社の予想PER平均は20倍台であり、過去5年及び10年の平均を上回っている。もし業績見通しの下方修正が相次ぐと現在の株価は割高となるため売り圧力が増すだろう。
本日3月25日の東京市場では、前日の米国株高と米金利上昇を反映した円安ドル高を好感して、トヨタ自動車などの自動車株と東京エレクトロンなどの半導体関連銘柄を中心に買われ、フジクラなど電線銘柄も買われた。海外投機筋が株価指数先物を買い上がり、先物主導で株価が上げた。日経平均の上げ幅は一時500円を超えて38,000円台を回復したが、そこからは伸び悩んだ。直近まで上昇が鮮明だった三菱UFJや三井住友などのメガバンク株や、三菱重工など防衛関連銘柄は利食い売りに押されて後場になると一段安となった。株式相場とはこういうことが常である。株式トレードではいつまでも愚直に持っていては効率が悪い。グー(掴む)・パー(放す)のメリハリが大切だ。
原油相場(WTI)が上がった。1バレル=69.33ドルへ前日比1.5%上昇した。トランプ米大統領がベネズエラ産の原油を輸入する国に対して25%の関税を課す大統領令に署名したからだ。ベネズエラ産原油を輸入している中国が代替調達に切り替えるとマーケットは予想し、その圧力で世界の原油相場が上昇するとの読みである。少しは影響があるだろうが、長続きはしないと考えられる。なぜならベネズエラの原油産出量は日量94万バレルであり、世界需要の1%以下であるからだ。
トランプ米大統領の関税政策の煽りを受けて、電炉の製鉄原料である鉄スクラップの価格が米国内で約2割上昇してきた。関税の効果を織り込んで電炉各社が強気の値段交渉をしていることが背景にある。米国は鉄鋼生産の68.3%を電炉(日本と違い高炉が主力ではない)が鉄スクラップを原料として産出している。日本や米国以外の国ではその比率は3割程度である。世界最大の鉄スクラップ輸出国(2023年度は1,630万トン)であるが、米国内の鉄スクラップの値段が上がれば米国内で売る方が得をするからその分輸出に回す量が減少するはず。となれば国際価格は上昇する。原材料の値段が上がれば、電炉で作る鉄鋼製品の日本から東南アジアへの輸出価格を上げないと赤字になる。しかし、中国から過剰生産設備のため鉄鋼は過剰生産が続いており、その過剰部分は安値で世界へ輸出される。日本の鉄鋼会社はその安値と競争しなけれならない。当然収益率は落ちるはずだ。例えば、JFEホールディングスは今年2月に既に、2025年3月期連結利益(IFIRS)が前年比52%減の950億円、従来予想から350億円下方修正した。業績見通しの変化の裏付けを、通底する相場の背景で裏付けを取る実例である。後はこれらファンダメンタルズの変化と株価チャートと比べて、少し先がどうなるかを想像しながら先へ先へと進んで行く。何が実際に起こっているか。我々は、通常何も努力しないと「①株価の変化>②業績見通しの変化>③業界環境の変化」という順序で知ることになるが、実際に起こっている力学は方向が全く逆方向である。つまり、「①業界環境の変化>②業績見通しの修正>③株価の変化」なのである。だから、この順番で分析し考える必要がある。
日経平均の日足チャートを見ると、今日も上げて始まったが終わってみれば売り圧力に押し戻されて上ひげを引いた陰線で終えた。下向きの25日移動平均線を終値ベースで回復できなかった。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、精密機器(1位)、不動産(2位)、繊維製品(3位)、ガラス・土石(4位)、サービス(5位)となった。銀行は下落率トップだった。
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二転三転するトランプ米大統領の関税発言に身構えている 03月25日
先週金曜日の米国株式相場は小幅上昇した(DJIA +32.03 @41,985.35, NASDAQ +92.42 @17,784.05, S&P500 +4.67 @5,667.56)。ドル円為替レートは149円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が476に対して、下落銘柄数は1,105となった。騰落レシオは100.20%。東証プライムの売買代金は3兆7894億円。
TOPIX -13 @2,791
日経平均 -69円 @37,608円
先週金曜日米国では、トランプ関税の不透明感から売りが先行してダウ工業株30種平均は一時500ドル以上下げる場面があった。しかし、トランプ米大統領が4月2日に発動する相互関税について受難な対応の可能性に言及し、さらに主力ハイテクを中心に大引けにかけて買い戻しが入り、主要3株価指数は揃って反発した。ニューヨーク連銀のウイリアムズ総裁やシカゴ連銀のグールズビー総裁が3月21日の講演で経済や政策をめぐり不確実性の高さに触れ、金融政策の変更を急がない、つまり、利下げを急がない姿勢を示した。
本日3月24日の東京市場では、個人投資家が配当権利取り狙いで買いが増えて日経平均は上昇する場面があったが、トランプ政権の関税政策を巡る不透明感が重荷となって3日続落した。トランプ政権が4月2日に発動する関税政策について、米ブルームバーグ通信が一部の国・地域は除外される見通しであると報じたが、株式相場はこれを特に好意的には受け止めなかった。関税政策についてトランプ米大統領の発言は二転三転してきたから信用できないからだろう。まずは、4月2日を通過することだろう。
直近で大きく上昇していた銀行株と総合商社株が利食い売りで目立って下げたが、相場ではよくあることである。上がる理由がしっかりして上がる銘柄の場合は押し目となるが、需給だけで上げた銘柄の場合は反落の始まりとなる。これはチャートだけを見ていては判別するのは難しい。業績見通しの変化と通底する株式相場の背景の変化にも目を配っておく必要がある。
日経平均の日足チャートを見ると、反発して始まったが強い売り圧力に押し戻されて陰線で終えた。しかも、4日連続で下向きの25日移動平均線に弾き返された。1月4日高値@40,280円と3月11日安値@35,987円の落差(4,293円)の3分の1戻し(1,431円)である37,418円は既に通過したが、下向きの25日移動平均線が強力な上値支持線として株価の頭を押さえている。
33業種中22業種が下げた。下落率トップ5は、銀行(1位)、機械(2位)、鉄鋼(3位)、卸売(4位)、パルプ・紙(5位)となった。
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全体としては元気がないが銀行株だけは別格! 03月21日
昨日の米国株式相場は小幅反落した(DJIA -11.31 @41,953.31, NASDAQ -88.34 @17,662.36, S&P500 -12.40 @5,662.89)。ドル円為替レートは149円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が757に対して、下落銘柄数は834となった。騰落レシオは108.36%。東証プライムの売買代金は5兆9909億円。
TOPIX +8 @2,804
日経平均 -75円 @37,677円
米国では、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年2回の利下げ見通しが維持され、2月中古住宅販売件数が予想を上回った。ダウ工業株30種平均は280ドル上昇する場面があった。他方、トランプ政権の関税政策は不透明感が続いている。好悪材料の綱引きの結果、主要3株価指数は揃って小幅安となった。トランプ大統領は相互関税発動の4月2日を「米国解法の日」と呼んだが、株式相場は、相手国による報復関税を招き、貿易摩擦の激化と世界経済の縮小に繋がると身構えている。
本日3月21日の東京市場では、週末を控えて持ち高調整目的の売りが優勢となった。米半導体設計アンペア社の買収を発表したソフトバンク・グループは上げた。また、日銀の追加利上げを期待してメガバンクなど銀行株が買われ、三菱UFJは連日で上場来高値を更新している。3月19日に日銀の植田和男総裁が記者会見で「経済・物価の見通しが実現していいけば、引き続き政策金利を上げる」と強調した。また、同時にトランプ米政権の関税政策を考慮して「米国や世界、日本の経済に及ぼす影響を精査して、政策を決めて行く」とも述べた。3月末決算企業の配当権利取り狙いの買いも入り、日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。しかし、後場になると、日本の対血合い時間中、米株価指数先物が軟調な動きに転じ、香港ハンセン指数も大きく下落すると、日本株も売り優勢となった。
日銀が3月21日に発表した2024年10~12月期の資金循環統計(速報)によれば、2024年12月末時点の家計(企業の分は入っていない)の金融資産残高は9月末比2.3%増加して2,230兆円と過去最大となった。株式等のウェイトは9月末比で4.4%増、投資信託は8.2%増となった。ほとんどの日本人はどこにそんなにお金があるんだと叫びたくなる金額だが、株価が上がれば個人名義の株価の価値が上昇するためこの数字は自動的に上昇する。
日経平均の日足チャートを見ると、長い上ひげを引いた短陽線で終え、終値ベースでは依然として下向きの25日移動平均線の下に沈み込んだままである。やはり、4月2日の相互関税発動の日を経過しないと方向性がはっきりしない。
33業種中19業種が下げた。下落率トップ5は、輸送用機器(1位)、金属製品(2位)、保険(3位)、海運(4位)、卸売(5位)となった。
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日銀の金融政策決定会合が無事通過し、次はFRBのFOMC 03月20日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -260.32 @41,581.31, NASDAQ -304.54 @17,504.12, S&P500 -60.46 @5,614.66)。ドル円為替レートは149円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,066に対して、下落銘柄数は507となった。騰落レシオは109.38%。東証プライムの売買代金は4兆3820億円。
TOPIX +12 @2,796
日経平均 -94円 @37,752円
米国では、直前2日間で続伸して高くなったことや、翌日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えており買い上がる動きが止まり、ハイテク株を中心に売りが優勢となった。FOMCでは政策金利の据え置きがほぼ確実視されているが、FOMC後にパウエル議長が何をどう語るかに注目が集まっている。FRBは高関税政策がどの程度、どのようにインフレと景気に影響を与えるかを見極めるために、利下げは急がず政策金利を2会合連続で据え置き、現行の4.25~4.50%を維持すると見られる。エヌビディアやマイクロソフトなどの大型ハイテク株を指す「マグニフィセント・セブン(壮大な7銘柄)」の最高値からの下落率の平均値が、3月18日に20%を超えて「弱気相場」入りしたと警戒されている。
本日3月19日の東京市場では、19日まで開いた日銀の金融政策決定会合の結果が前引け間際に公表された。事前の予想通り政策金利は0.5%で据え置きとなり前場では買いが強まり、日経平均は一時280円ほど上げた。しかし、20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えており、さらに日本は祝日で株式市場は休場となるため、利益確定が優勢となった。ハイテク株の一角は売りに押されたが、トヨタ自動車や任天堂などは上がり、ウォレン・バフェット率いるバークシャー・ハザウェイが買い増した5大総合商社は引き続き買われて上昇した。東証プライムに本日新規上場したJX金属は公開価格(820円)を上回る843円で初値を付け、大引けは874円だった。
国内長期金利が3月上旬には一時1.57%まで上昇する中、3月末の決算を控えて銀行は含み損が増加した債券を損切りする一方、株式の利益確定売りで利益を出す「合わせ切り」という操作を完了したと見られる。これにより金融機関による売り需要という需給悪化懸念がほぼ消えた。さらに、3月27日の権利付き最終売買日に向けて、配当と株主優待を狙った個人投資家の買い需要が高まることも期待される。このように株式の需給は良くなりそうだが、問題は予測不能なトランプ政権の関税政策である。トランプ大統領は貿易相手国と同水準の関税を課す「相互関税」を4月2日に導入すると宣言しているため、少なくともこの日を通過しないと先行きが不透明すぎる。
日経平均の日足チャートを見ると、ザラバ高値では3月11日を起点とした今回の反発相場の高値を更新して、一時下向きの25日移動平均線の上に2月19日以来初めて再浮上した。しかし、次第に利食い売りに押し戻されて長いひげを引いが短陰線(トンカチ)で終え、今日のところは上値では強い売り圧力で上値が重いことを示した。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、卸売(1位)、電気・ガス(2位)、その他製品(
3位)、輸送用機器(4位)、空運(5位)となった。
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総合商社と銀行・保険が目立って強い 03月19日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA +353.44 @41,841.63, NASDAQ +54.58 @17,808.66, S&P500 +36.18 @5,675.12)。ドル円為替レートは149円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は続伸した。東証プライムでは、上昇銘柄数は1,287に対して、下落銘柄数は297となった。騰落レシオは106.52%。東証プライムの売買代金は4兆5850億円。
TOPIX +35 @2,784
日経平均 +449円 @37,845円
米国では、トランプ大統領が新たな高関税政策をぶち上げるなど「悪材料」が出なかった。また、2月の小売売上高(自動車・同部品を除く)が前月比+0.3%となり、予想通りだった。これらを好感して主要3株価指数は揃って続伸した。ダウ工業株30種平均は一時500ドル以上上げた。ただ、2月小売り売上高は自動車も含めると前月比+0.2%(<予想+0.6%)となった。
本日3月18日の東京市場では、米国株の続伸を受けて、幅広い銘柄が買われた。ウォレン・バフェット氏(割安の時にしか買わないことで有名)率いるバークシャー・ハザウェイが商社株をさらに買い増していたことが報道されると伊藤忠や三菱商事など総合商社株に大きな買いが入って上げた。バリュー株として銀行株も大きく買われ、三菱UFJは連日で上昇来高値を更新し、6日連続陽線となった。銀行株が買われたのはただバリュー株だからではない。国内長期金利(=新発10年物国債利回り)が1.5%を超えてきているため、利ザヤが拡大しており収益増大が予想されるからだ。同じ理屈で、保険株も軒並み大きく上げた。外為市場では、円相場が1ドル=149円台後半の円安ドル高方向に振れたことで、トヨタ自動車、ホンダ、SUBARUなど自動車株が買われた。他方、足元で急上昇していた三菱重工など防衛関連銘柄は利食い売りが優勢となり下げた。防衛関連銘柄を売って、その資金で総合商社株を買っているか?日経平均の上げ幅は一時600円を超え、38,000円台を回復する場面があった。
今週は日銀の金融政策決定会合と米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、両国とも政策金利は据え置きとなるとの見立てが主流である。もし、違った場合、つまり日銀が追加利上げし、FRBが追加利下げをした場合、株式市場と外為市場の両方で大波乱が起る。
足元の反発相場はあくまでも戻り相場だという認識が重要だと思う。トランプ政権が日本からの自動車輸出に25%の関税を本当に発動すると、甚大な悪影響が日本経済にもたらされる。国内メーカー10社のサプライチェーンを構成する企業は推計6万8485社もあり、新車・中古車販売・整備・貨物輸送における就業者数は550万人を超えるからだ。主要企業の経常利益増加率は、2024年度は7.4%増だったものが、2025年度は6.4%増へと低下すると予想されている(SMBC日興証券推測)。
日経平均の日足チャートを見ると、2日連続で大きな窓を空けて急伸した。しかも、陽線で終え、下向きの25日移動平均線に触れるところまで戻って来た。チャートだけで判断すると上方向への勢いが強いので、まだ少しは続伸しそうに見えるが、さて、どう動くか。米国株の動きに大きく左右される。
33業種中31業種が上げた。上昇率トップ5は、保険(1位)、銀行(2位)、卸売(3位)、輸送用機器(4位)、鉱業(5位)となった。
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自律反発狙いの買いにより大きく反発した 03月17日
先週金曜日の米国株式相場は大幅上昇した(DJIA +674.62 @41,48.19, NASDAQ +451.08 @17,754.09, S&P500 +117.42 @5,638.94)。ドル円為替レートは148円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上昇する銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,224に対して、下落銘柄数は364となった。騰落レシオは100.94%。東証プライムの売買代金は4兆4061億円。
TOPIX +32 @2,748
日経平均 +343円 @37,397円
米国では、発表された経済指標は悪かったものの、主要3株価指数は揃って大きく調整が進んでいた中、トランプ政権から新たな関税引き上げ政策の発表がなかったことが「好材料」と捉えられた。米政府機関の一部閉鎖が危惧されていたが、議会でつなぎ予算が通過してそれが回避された。足元で大きく下落した銘柄を中心に押し目買いが優勢となった。3月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値は57.9%(<予想63.1%、前月分64.7%)と悪化した。1年先期待インフレ率速報値は4.9%(>前月分4.3%)、5年先期待インフレ率速報値は3.9%(>前月分3.5%)へと、それぞれ悪化した。つまり、景気悪化懸念の高まりと同時にインフレ率も高まるという、普通なら株価を押し下げそうな株価材料だったが、自律反発期待がこれを跳ね返した。
本日3月17日の東京市場では、米国株の大幅高の流れを受けて、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連銘柄の一角やソフトバンクグループなどの値嵩株の買戻しにより急伸した。この3銘柄だけで日経平均を約140円押し上げた。企業の賃上げ基調を背景に、日銀は早晩追加利上げに踏み切るとの観測(日経新聞は「0.5%で据え置き」と報道したが)により三菱UFJは4日続伸、5日連続陽線で分割考慮後の上場来高値を更新した。また、地政学リスクと米トランプ政権からの高まる圧力に押されて日本の防衛費が増額されるとの見立てから三菱重工、IHI、川崎重工の防衛関連銘柄が大出来高を伴って急伸した。トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と18日に会談すると報道されると、ウクライナを巡る地政学リスクが後退するとの見方から、リスクオフ気味となり、安全通貨・安全資産の代表である円が売られてドルが買われ、同時にリスク資産である株式が買われた。これらすべての動きを逐次観察している海外投機筋は株価指数先物をすかさず買った。東京電力HDは国の認可を得て暫定再建計画を公表したが、これを好感した買いが殺到して株価は大幅高となった。その結果、日経平均の上げ幅は一時500円を超えた。
ただし、株式相場に影響を与える背景は先週末の米国株式相場の自律反発以外は何も変わっていないことを留意しておかなければならない。特に、トランプ政権の高関税政策は二転三転して相場を攪乱して来た。
今週3月18~19日の日銀による金融政策決定会合では、政策金利は0.5%で据え置きになるとの見通しが広がっている。市場の注目は会合終了後に植田和男総裁が何をどう語るかに集まっている。債券市場で長期金利が既に織り込んでいる日銀の利上げ見通しを肯定するか否定するか。またそれをどう表現するか次第で、対日貿易赤字で不満だらけの米トランプ大統領が対日強硬姿勢を強めかねないからだ。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップアップして始まり、短い上ひげを引いた短陰線で終えた。2月19日以来初めて10日移動平均線の上に再浮上した。これで下げ止まったと仮判断できた。3月11日のザラバ安値@35,987円を割り込まない限り、ここからの下げは、特に10日移動平均線の上での下げは押し目と考えることができる。まずは3月6日の戻り高値@37,874円(昨年5月30日来重要な上値抵抗線・下値支持線が走っている)を上抜けできるかどうかに注目したい。
33業種中28業種が上げた。上昇率トップ5は、機械(1位)、不動産(2位)、建設(3位)、電気・ガス(4位)、保険(5位)となった。
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銀行株が目立って続伸した 03月14日
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -537.36 @40,813.57, NASDAQ -345.44 @17,303.01, S&P500 -77.78 @5,521.52)。ドル円為替レートは148円台後半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上昇する銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が958に対して、下落銘柄数は600となった。騰落レシオは100.63%。東証プライムの売買代金は4兆8369億円。
TOPIX +17 @2,716
日経平均 +263円 @37,053円
米国では、2月生産者物価指数(PPI)の上昇率が鈍化したことで利下げ期待が高まった。しかし、EUが米国からのウイスキーに50%の関税を課したことへの報復として、トランプ米大統領がEUから輸入するアルコール類に200%の関税を課すと警告したため貿易摩擦の激化が懸念されて株価は大きく下落した。また、ベッセント米財務長官は13日、米CNBCの番組で、米政権は経済と市場の長期的な健全性を重視しており、ここ3週間の株式相場の変動は気にしていないと述べ、株価には配慮しない姿勢を示した。
ただ、ハイテク株中心のナスダックは2024年12月の最高値から一時15%安まで下げ、終値ベースでも調整局面入りとされる10%の閾値は超えた。一般論として、株価が最高値から20%以上下げると、弱気相場に転換すると判断され、一旦弱気相場になると株価は長期間低迷する可能性が高くなる。3月18~19日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、市場は追加利下げげを期待しており、年内に2~3回の利下げがあると予想している。株式相場は既に3回の利下げ分を織り込み済みと言われているが、トランプ関税の発動によるインフレ懸念が高まっている中、FRBは追加利下げを躊躇うはずだ。
本日3月14日の東京市場では、米国株と比べると日本株は調整幅が相対的に小さく、日本株の堅調さに注目して投機筋の買いが優勢となった。日経平均先物・オプション3月物の特別清算指数(SQ)値は36,483円79銭となった。本日の日経平均は終日この水準を割り込むことはなかったため、強気派が増えた。上昇基調を続ける国内長期金利と3月末を見据えた配当権利取りの動きも加わり、銀行株は目立って続伸した。
日経平均の日足チャートを見ると、前日の米国株安の流れを受けて下げて始まったが、切り返して長陽線で終えた。先物主導で上げ、日経平均は一時360円高まで上げた。10日移動平均線の上に浮上すれば、下げ止まったと仮判断できる。
33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、銀行(2位)、繊維製品(3位)、保険(4位)、機械(5位)となった。
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「三重苦」で株価はまだ当分の間身動きが取れないようだ 03月13日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -82.55 @41,350.93, NASDAQ +212.35 @17,648.45, S&P500 +27.23 @5,599.30)。ドル円為替レートは147円台後半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が816に対して、下落銘柄数は747となった。騰落レシオは10.31%。東証プライムの売買代金は4兆4162億円。
TOPIX +3 @2,698
日経平均 -29円 @36,790円
米国では、トランプ米大統領が推し進める高関税政策により貿易摩擦が激化して貿易戦争に発展するのではないかという懸念は根強いものの、米2月消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を下回った(前月比+0.2% <予想+0.3%、1月分+0.5% : 前年比+2.8%<予想+2.9%、1月分+3.0%)ことで利下げ期待が維持され株価を支えた。10年債利回りは前日の4.288%から一時は4.251%まで下げた後、トランプ関税によるインフレ懸念により4.318%まで戻って引けた。
本日3月13日の東京市場では、前日の米国ハイテク株の反発の流れを受けて、東京エレクトロンやアドバンテストなど値がさ半導体関連銘柄銘柄を中心に買い戻されて、日経平均の上げ幅は一時500円を超えた。しかし、日銀の植田和男総裁が13日正午過ぎに衆院予算委員会で「賃金上昇率の強い姿勢が続く」などと発言した。これを受けて外為市場では円高ドル安方向へ振れ、株売り圧力が増加したため日経平均は急速に上げ幅を縮小し始めた。
日経平均の日足チャートを見ると、3連続陽線の翌日である本日、反発して始まった。しかし、売り圧力に押し戻されて、上ひげを引いた長陰線で前日比小幅安で終えた。(1)ロシアのウクライナ侵攻という地政学リスクは3年経ってもまだ消える見通しは立たず、(2)日銀の利上げ観測と(3)予測不能なトランプ関税の発動という「三重苦」で株価はまだ当分の間思うように身動きが取れないようだ。
33業種中22業種が上げた。上昇率トップ5は、石油・石炭(1位)、銀行(2位)、保険(3位)、海運(4位)、鉱業(5位)となった。
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下げ渋り感が増して来たので・・・ 03月12日
昨日の米国株式相場は続落した(DJIA -478.23 @41,433.48, NASDAQ -32.22 @17,436.10, S&P500 -42.49 @5,572.02)。ドル円為替レートは148円台前半の前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,156に対して、下落銘柄数は430となった。騰落レシオは100.65%。東証プライムの売買代金は4兆4630億円。
TOPIX +24 @2,695
日経平均 +26円 @36,819円
米国では、カナダのオンタリオ州が米国に供給する電力に25%の追加料金を課すと発表したことに対する報復として。トランプ米大統領が自身のSNSでカナダからの鉄鋼とアルミニウムの輸入品に課す関税を25%から50%へ倍増すると発表した。しかし、半日でその決定は翻った。このように一事が万事でトランプ政権の貿易政策を巡る不透明感は一層増し、ダウ工業株30種平均が一時1,100ドル超下げた前日の3月10日に続きこの日も700ドル以上下げる場面もあり、主要3株価指数は揃って続落した。
本日3月12日の東京市場では、ウクライナが米国提示の30日間の停戦に合意し地政学リスクがやや緩和されたことが株価の支援材料にはなったが、トランプ政権の関税政策は不透明なままである。トランプ政権は3月12日にすべての国からの鉄鋼・アルミニウム製品に25%の関税を課し始め、日本もその対象国となった。4月2日にトランプ政権が自動車関税や相互関税の全容を公表するまでは米国の二転三転する関税政策に株式相場は振り回される可能性が高い。さらに日銀が追加利上げを実施しそうだとういう観測が株価に下げ圧力を与えている。春闘の集中回答日は3月12日に控えており、その結果次第では日銀が追加利上げを決定するのではないかとマーケットは警戒している。日銀の植田和男総裁は12日の衆院財政金融委員会で、上昇が続く長期金利について「市場の見方と私どもの見方に大きな齟齬はない」と述べ、金利上昇を牽制しようとはしなかった。
国内長期金利が明確に上昇基調であるのにも関わず、昨日はメガバンクをはじめとした銀行株が大きく売られた。何を血迷ったんだろうと不思議に思っていたら、今日は一斉に銀行株が目立って買われた。メガバンクだけでなく出遅れ気味の地方銀行も大きく上げた。昨日は一斉に売ったのに、今日は一斉に買い上がった機関投資家をはじめとする大多数の投資家の首尾一貫性の無さに呆れるばかりである。ひょっとして昨日のこのブログ記事を読んで反省したのだろうか(笑)。
日経平均の日足チャートを見ると、上下に短いひげを引いた短陽線で終え、前日比小幅高となった。この3日間は陽線引けとなったことから、下げ渋り感が増して来た。新たな大きな悪材料が飛び出して来なければ3分の1戻しくらいを目指した反発局面が来るかもしれないが、それはあくまで短期的な戻りにすぎないと見ておく方が無難だろう。
33業種中29業種が上げた。上昇率トップ5は、銀行(1位)、非鉄金属(2位)、電気・ガス(3位)、保険(4位)、石油・石炭(5位)となった。
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チャートだけを見ると、明日は反発しそうに見えるが・・・ 03月12日
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -890.01 @41,911.71, NASDAQ -727.90 @17,468.32, S&P500 -155.64 @ 5,614.56)。ドル円為替レートは147円台前半の前日比円高ドル安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が418に対して、下落銘柄数は1,176となった。騰落レシオは90.82%。東証プライムの売買代金は5兆4820億円。
TOPIX -30 @2,671
日経平均 -235円 @36,793円
昨日の米国では、金曜日にはベッセント米財務長官がトランプ政権が政府支出削減を進めているため、米経済は「デトックス期間」を迎える可能性があるとも発言していた。つまり、政府の過剰な財政出動に中毒症状となっていた米経済が正常化する過程では「禁断症状」が出ることはあり得るという意味である。足元では弱い経済指標の発表が相次ぐ中、9日にFOXニュースのインタビューでトランプ大統領は景気後退入りの可能性を明確に否定しなかった。年内の景気後退入りの可能性を問われると、「この種の事柄を予想するのは好きではない。我々は非常に重要なことをやっているため「移行期間」が存在する。我々は富を米国に取り戻そうとしている。多少時間がかかる」と景気後退入りの可能性を否定しなかった。トランプ政権は景気には配慮せず、関税引き上げに踏み切るとマーケットは解釈した。その結果、直近2年間で株式相場をけん引して来たマグニフィセント7は軒並み大幅下落した。テスラは15.43%と急落し、エヌビディア、アップル、アルファベット、メタ・プラットフォームも皆、4~5%下落した。10日の1日だけでマグニフィセント7の7社の時価総額合計は約100兆円(少し前の日本の1年間の国家予算に匹敵する額)も吹き飛び、1日だけの時価総額消失額としては過去最大である。マーケット・センチメントは急速に悪化し、主要3株価指数は揃って大幅安となった。
本日3月11日の東京市場では、前日の米国株式相場の急落の流れを受けて、ハイテク株を中心に売り先行で始まった。前場では約9割の銘柄が下げる全面安となった。日経平均の下げ幅は一時1,000円を超え、心理的な節目である36,000円を割り込んだところで、押し目買いが入り切り返し始めた。2024年10~12月期GDP改定値が、速報値よりも大きく下方修正されたことも売り材料となった。武藤容治経済産業相は10日、ワシントンでラトニック米商務長官と会談したが、12日に発動が迫っている鉄鋼・アルミニウム製品の追加関税に関して、日本も除外されない、つまり、対象となるとの見通しを示された。
通奏低音として相場の重しとなっているのが日銀による追加利上げ観測である。追加利上げは、景気を冷やすだけでなく、円高ドル安を促進し、それがインバウンド旅行客を減少させるため、内需株の株価を押さえる。追加利上げは通常なら銀行株には追い風となるが、本日は景気を冷やす力の方が大きいと見たのか、銀行株は大きく売られた。しかし、景気が本当に腰折れしない限り、長期金利の上昇は銀行の収益を高めるので中長期的には株価は上昇基調を続けると見ている。次の四半期決算の発表でそれが見えて来るはずだ。
3月14日には株価指数先物とオプションの清算日が3か月に一度重なるメジャーSQ(特別清算指数)の算出日なので、自分のポジションに有利な方に相場を持っていこうとする思惑も働く。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップダウンして始まりさらに大きく下げて、心理的な節目となる36,000円を一時割り込んだが、そこから切り返し始めて下げ幅を縮小した。結局、長い下ひげを引いた短陽線で終えた。チャートだけを見ると、明日は反発しそうに見えるが、株価を動かすのは株価チャートではなく、そのずっと奥にある相場の背景の変化である。足元では悪材料が次々と出て来るため、なかなか下げ止まらないと見ている。仮に少しくらい反発してもすぐに売りが大量に入って押し戻される可能性が高い。安定的に上昇基調を取り戻すのはトランプ政権の関税政策が具体的にはっきりと見えて来る4月初旬が過ぎてからではないだろうか。
33業種中28業種が下げた。下落率トップ5は、証券(1位)、非鉄金属(2位)、サービス(3位)、建設(4位)、銀行(5位)となった。
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相互に関税を引き上げる「チキンレース」の先にあるものは・・・ 03月10日
先週金曜日の米国株式相場は反発した(DJIA +222.64@42,801.72, NASDAQ +126.96 @18,196.22, S&P500 +31.68 @5,770.20)。ドル円為替レートは147円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が659に対して、下落銘柄数は928となった。騰落レシオは92.61%。東証プライムの売買代金は4兆1743億円。
TOPIX -8 @2,701
日経平均 +141円 @37,028円
先週金曜日の米国では、2月米雇用統計が予想していた以上に悪化したので米国の景気減速懸念が高まった。非農業部門雇用者数(NFP)は15.1万人増(<予想16.0万人)、失業率は4.1%(>予想4.0%)、平均賃金は前月比+0.3%(<前月+0.5%だが予想通り)で前年比では+4.0%(<予想+4.1%)だった。パウエルFRB議長は7日の講演で、追加利下げについて「急ぐ必要はない」と強調した。これにより過度な警戒感が和らぎ、株価は売りが優勢となった後下げ止まり、押し目買いにより反発した。主要3株価指数は揃って上昇して終えた。
本日3月10日の東京市場では、先週末の米国株の反発の流れを受けて、半導体関連銘柄を中心とた買いが先行した。日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。好決算を発表した台湾積滞電路製造(TSMC)に触発されて、アドバンテストやレーザーテックなどの関連銘柄が買われて急騰したが、相場全体としては強いとは言えない。
国内債券市場では、日銀の追加利上げ観測と国債需給の悪化を背景に、長期金利(=新発10年物国債利回り)が1.575%まで上昇して来た。これは2008年10月以来、16年5カ月ぶりの高水準である。また、トランプ米大統領が米FOXニュースのインタビューで米景気後退の可能性を明確には否定しなかったため、時間外取引で米株価指数先物は下げて推移している。これが日本株にも影響を与えた。さらに、中国政府は10日、対米報復関税の第2弾を発表した。米国から輸入する大豆やトウモロコシなどに最大15%の追加課税を発動した。12日には米国は鉄鋼・アルミニウム製品に追加関税を発動する予定である。報復関税の応酬がこのまま続けば、世界経済は成長に急ブレーキがかかり、最悪の場合、後退局面に陥り、世界大恐慌になる。1930年代のように。そうなる前に、相互に関税を引き上げる「チキンレース」を辞めなけらばならないのだが。
日経平均の日足チャートを見ると、長い下ひげを引いた短陽線で終えたが、ザラバ安値を更新した。本日を含めた6営業日の日足チャートを見ると、非常に珍しい罫線となっていることに気付く。はらみ線が3回連続で続き、ザラバ安値をすこしずつ更新している。安値を更新している限り、まだ下げ止まったとは仮判断すらできない。
33業種中19業種が下げた。下落率トップ5は、その他製品(1位)、鉄鋼(2位)、銀行(3位)、保険(4位)、機械(5位)となった。
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昨年8月初旬の急落前夜と非常に似て来た! 03月07日
昨日の米国株式相場は再び大幅下落した(DJIA -427.51 @42,579.08, NASDAQ -483.47 @18,069.26, S&P500 -104.11 @5,738.52)。ドル円為替レートは147円台半ばの前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数は459に対して、下落銘柄数は1,133となった。騰落レシオは96.77%。東証プライムの売買代金は4兆9212億円。
TOPIX -43 @2,709
日経平均 -818円 @36,887円
米国では、トランプ政権の予測不能の関税政策に振り回される中、エヌビディア(5.7%安)やブロードコム(6.3%安)をはじめとする半導体関連銘柄が下落し、相次いで弱い経済指標が出て来たため景気減速懸念が高まった。人工知能(AI)向けのカスタム半導体(ASIC)を手掛ける半導体のマーベル・テクノロジーは四半期決算を発表したが、売上高の過半を占めるデータセンター向けの売上が不振となり、株価は19.8%%も急落した。テスラは5.6%安。翌日に発表される2月雇用統計が弱い数値が出て来るのでなないかとマーケットは身構えた。5日に発表されたADP全米雇用リーポートでは非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に下回ったため、2月雇用統計が気になる。マーケットは景気減速を感じ取り、株は売り優勢となった。主要3株価指数は揃って下げた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も4.53%急落した。ナスダックは昨年12月に付けた史上最高値から10.4%下落したので分水嶺とされる10%超の下げとなり「調整局面」入りした。
本日3月7日の東京市場では、米国株安、特にハイテク株安と円高ドル安進行のため、幅広い銘柄が売られて下落した。東京エレクトロンやアドバンテストなどの値がさ半導体関連銘柄が売られて日経平均の下げ幅を大きくした。トランプ米大統領は4日に発動したメキシコ・カナダに対する25%の追加輸入関税は大規模な救済措置を認めると発表したが、他方、自動車産業に対する救済措置は短期間になるとも警告した。このような状況では、もし日本時間の今夜発表される2月米雇用統計が事情予想よりも悪かった場合、株売り円買いドル売りがさらに進むとマーケットは警戒している。
また、日銀の追加利上げに対する警戒感も高いままである。3月6日に連合が発表したデータでは、傘下の労働組合が25年の春闘で要求した賃上げ率は平均6.09%と6%を上回った。これは1993年以来32年ぶりの高水準である。もし、これが実現すれば、或いはこの要求に近い水準が実現すれば、日銀の追加利上げの可能性はますます高くなる。トランプ米大統領は日本が通貨安(=円安ドル高)を誘導してきたと問題視する発言をして対日貿易赤字に苛立っている。日銀は利上げすることで自らの金融政策を遂行するだけでなく、この外圧をかわすこともできるので一石二鳥の政策となる。この見方を反映して、長期金利(新発10年物国債利回り)は一時、2009年月以来の1.530%を付けた。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップダウンして始まり、さらに下げて陰線で終えた。2月28日安値@36,840円、3月4日安値@36,816円を少しだけ更新する36,813円まで下げて来た。株価チャートのずっと左領域を見ると、この水準は昨年4月19日の安値@36,733円とほぼ同水準であり、その後の戻り相場では下値支持線だったことに気付くはずだ。そして、昨年8月2日と5日のがけ崩れのような急落は2日のザラバでこの下値を突き破って下げたから起こった。その背後にあった原動力は急速な円高進行だった。今現在の株価位置に急速な円高進行が加われば、また昨年8月のトラウマが蘇りかねない。今回は昨年8月初旬の相場にはなかった悪い材料がもう一つある。それは予測不能な動きをするトランプ関税である。
33業種中25業種が下げた。下落率トップ5は、その他製品(1位)、電気機器(2位)、精密機器(3位)、保険(4位)、証券(5位)となった。
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USMCA内の自動車に対する25%の関税の発動は1カ月延期されたので・・・ 03月07日
昨日の米国株式相場は大幅上昇した(DJIA +485.60 @43,006.59, NASDAQ +267.57 @18,552.63, S&P500 +64.48 @5,842.63)。ドル円為替レートは147円台後半の前日比円高ドル安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,291に対して、下落銘柄数は319となった。騰落レシオは100.69%。東証プライムの売買代金は4兆9162億円。
TOPIX +33 @2,751
日経平均 +287円 @37,705円
米国では、3月4日に発動した対メキシコ・カナダの25%の関税について、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)内の自動車への適用は1カ月猶予すると発表した。さらに、ホワイトハウスのレビット報道官がトランプ米大統領は関税の適用除外の要請にオープンであるとの見解を示した。これによりトランプ政権の関税政策に対する過度な警戒感が和らぎ、株価の上昇に弾みが付いた。さらに、米サプライマネジメント協会(ISM)が3月5日に発表した2月非製造業(サービス業)景況感指数が改善した(53.5>予想52.9、前月分52.8)。ダウ工業株30種平均は直前の2日間で1,300ドル超下げていたが、反発して一時は614ドル高まで上げた。主要3株価指数は揃って上げて終えた。ただ、関税の影響が大きい消費関連株は弱いままだ。
本日3月6日の東京市場では、米国で関税を巡る警戒感が和らいだことで株高となった流れを受けて、幅広い銘柄が買われて日経平均は上げた。日経平均の上げ幅は一時400円を超えたが、買いが一巡するとさらに上値を追いかけて買う動きは乏しく、伸び悩んだ。メキシコに工場を持つ日産とマツダなど自動車株が上げた。また、ウクライナ情勢の緊迫化や防衛費のさらなる増額を将来的には避けられないとの見方から三菱重工など防衛銘柄が上げた。三菱重工は分割考慮後で史上最高値を更新した。
国内債券市場で、10年物新発債利回りが1.515%を付けた。これは2009年6月以来、15年9カ月ぶりの高さである。ウクライナ情勢の変化を反映して国防費を増強するためドイツは国債を増発して財政拡大をする。財政規律の緩みを危惧してドイツ国債利回りが急騰した。欧州諸国の財政拡張と国債増発が欧州の長期金利を上げ、日本の長期金利にも上昇圧力がかかった。さらに、日銀が追加利上げすることはほぼ確実で、不明なことはそのタイミングのみとなってきた。その結果、日本の長期金利は上昇し、日米金利差が縮小して円高ドル安が進んだ。
地銀は従来から20年債など超長期債に投資してきたが、長期金利の上昇に伴い、保有する債券の含み損が増加していたため、超長期債からより満期までの期間が短い債券に乗り換えて、デュレーション(債券に投資した場合に投資元本を何年で回収できるかを示す指標、及び債券の金利変化に対する感応度)を短くしている。この乗り換えの過程で、長期債は売られるため、利回り(長期金利)に上昇圧力がかかる。10年債は幅広い投資家が買うが、20年債は主に地方銀行が買い、30年債は保険会社が主に買う。地銀の負債サイドのデュレーションは2~3年であるので、資産サイドも同じく2~3年であるのがALMの観点からは望ましい。しかし、超低金利が長く続きすぎたため、資産サイドをかなり長期にしないと利ザヤが確保できないためやむを得ず20年債に投資していた。
日経平均の日足チャートを見ると、上下に短めのひげを引いた短陽線で反発した。ただ、本日を含めて過去4営業日の株価の動きはすべて2月28日の陰線ローソク足の上下の範囲内の動きである。「相互関税」を掲げるトランプ政権の関税政策にまだまだ振り回されると覚悟しておきたい。少なくとも4月初旬まではなんども揺り戻しがあると見ている。
33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、機械(1位)、パルプ・紙(2位)、電気機器(3位)、ガラス・土石(4位)、金属製品(5位)となった。
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米長期金利「4.1%の壁」が盾のように株式相場を守った 03月06日
昨日の米国株式相場は大きく下げた(DJIA -670.25 @42,520.99, NASDAQ -65.03 @18,285.16, S&P500 -71.57 @5,778.15)。ドル円為替レートは149円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,090に対して、下落銘柄数は489となった。騰落レシオは98.73%。東証プライムの売買代金は4兆8623億円。
TOPIX +8 @2,718
日経平均 +87円 @37,418円
米国では、トランプ政権がメキシコとカナダからの輸入品に対して25%の関税を、中国に対しては10%の追加関税を4日深夜に発動した。相手国も報復関税で対抗する姿勢を示したことで、貿易摩擦の激化がやがて貿易戦争へ発展し、それに伴う世界経済の縮小と米経済の悪化が懸念された。主要3株価指数は揃って大きく下げた。
本日3月5日の東京市場では、米国株の大幅安にもかかわらず、先行して下げていたため自律反発狙いの買い圧力が強くなり反発する銘柄が多かった。日経平均は小幅高となった。米政権はカナダとメキシコに対する関税について「関税の軽減に向けた道筋を5日にも発表する可能性がある」と報じられたことも功を奏した。外為市場でも円高ドル安の動きが一服したため、トヨタ自動車やホンダなど輸出関連銘柄が買われた。日本の立会時間中に米国ではトランプ米大統領が施政方針演説を行ったが、株式相場にはほとんど影響はなかった。関税を巡っていくつかの国を名指しで非難したが、日本については言及されなかった。中国では、全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が開幕し、2025年の経済成長について「5%前後」と昨年度と同じ水準を掲げたが、不動産不況の出口が全く見えない中、マーケットはその実現性に懐疑的である。ファナックや安川電機など中国関連銘柄は売られて下げた。
米債券市場では、足元で米国債買いが進行して10年債利回りは低下を続けていた。これに対してスタグフレーションを予想しているマクロ系ヘッジファンドを中心に米国債の売り持ち残高を増加させてきた。3月4日も米国債買いが優勢となり10年債利回りは低下を続けて一時4.1%台まで下げた。そのタイミングでマクロ系ヘッジファンドが売り増しで仕掛けて流れを反転させた。長期金利は反発し始め、円相場は円高ドル安の動きが止まり、日経平均先物は1,100円以上下げていたものが切り返し始めて410円安で済んだ。米金利の上昇と下げていた株価の反転が同時に起きた。これは何を意味するか。米国の景気悪化を織り込み過ぎたとマーケットは解釈したようだ。米国金利先物は既に3回の利下げを織り込む水準まで下げているが、実体経済がそこまで悪いという経済統計はまだない。米長期金利と米株価の反転の動きは、即、日経平均先物の動きに反映されて急速に買い戻された。本日の日本市場が開く前にこのような力学が働いていた。但し、この見方はあくまで昨夜限りの短期的な見方・解釈である。まだ当分の間はトランプ米大統領の打ち出してくる高関税政策に世界中の株式相場は振り回されるだろう。
日経平均の日足チャートを見ると、昨日の長い下ひげを引いた陰線に本日の上下にひげを引いた短陽線が続く「はらみ線」となった。その2日間前も「はらみ線」を形成しており、これで2重の「はらみ線」となり、且つ、安値を更新していない。非常に弱い相場の場合、安値を更新して行くのだが、今回は粘っている。しかも安値圏で4日連続で長めの下ひげを引いており、下げるとすぐに強力な押し目買いが入っている。いつになるかは正確には分からないが、早晩、関税問題は消化されて相場に織り込み済みとなる。つまり、嵐は通り過ぎる。その時、今回の相場全体の大きな下げでも、理由があってほとんど下げない銘柄群があるが、嵐が過ぎ去った後、それらの銘柄群がどう動くか、容易に想像できるだろう。
33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、輸送用機器(2位)、繊維製品(3位)、鉱業(4位)、金属製品(5位)となった。
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トランプ政権による高関税の発動と地政学リスクの急速な高まりにより・・・ 03月04日
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -649.67 @43,192.24, NASDAQ -497.09 @18,350.19, S&P500 -104.78 @5,849.78)。ドル円為替レートは149円台前半の前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が513に対して、下落銘柄数は1,069となった。騰落レシオは100.51%。東証プライムの売買代金は4兆8665億円。
TOPIX -19 @2,710
日経平均 -454円 @37,331円
米国では、トランプ米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に対して予定通り3月4日から25%の関税を課すと発表した。さらに、対中国は現在の10%から20%へ引き上げると発表した。当初は交渉を有利に運ぶためのブラフだと思われていたが、有言実行した。中国は報復関税として、米国から輸入する小麦やトウモロコシなどに15%の追加関税を課すと発表した。再び貿易摩擦の激化が懸念され、ハイテク株や自動車をはじめとして幅広い銘柄が売られた。エヌビディアの先端AIチップは貿易規制を潜り抜ける裏口ルートで中国に輸出されていると報道されると8%以上急落した。米サプライマネジメント協会が発表した2月製造業景況感指数が市場予想に届かず米景気減速懸念が高まった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4.01%急落して、マーケット・センチメントは大幅に悪化して、主要3株価指数は大きく下落した。
本日3月4日の東京市場では、米国のウクライナに対する軍事援助の停止による地政学リスクの高まり、トランプ米大統領が予告していた高関税の発動、円高ドル安の進行などが悪材料として意識されて日経平均は大きく下げた。トランプ米大統領は、中国とともに日本も通貨安を誘導して来たと問題視する発言をした。トヨタ自動車やホンダなど自動車銘柄は直撃を受け、前場では下げ幅は1,000円に迫る勢いだった。非鉄金属、石油関連、鉱業など海外景気に業績が左右されやすい銘柄群も真っ先に売られた。ただ、地政学リスクの高まりにより、三菱重工やIHIなど防衛関連銘柄の一角は逆行高となった。
日経平均の日足チャートを見ると、長い下ひげを引いた短陽線で終えた。2月28日のザラバ安値@36,840円を一時下回る36,816円まで下げた後、切り返して下げ幅を縮小した。チャートだけを見ると反発しそうだが、日米で株価が急落したその原因である地政学リスクの急速な高まりやいよいよ激化し始めた従来のように2国間で収まらない世界的な貿易摩擦という問題は消化するのに時間がかかる。そのため、一時に反発したとしてもすぐに売り圧量が高まり、なかなか上げ基調にならいないと見ておきたい。
33業種中23業種が下げた。下落率トップ5は、非鉄金属(1位)、証券(2位)、鉱業(3位)、輸送用機器(4位)、石油・石炭製品(5位)となった。
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自律反発狙いの買いが優勢となり「はらみ線」 03月03日
先週金曜日の米国株式相場は大幅反発した(DJIA +601.41 @43,840.91, NASDAQ +302.86 @18,847.28, S&P500 +92.93 @5,954.50)。ドル円為替レートは150円台前半の先週末比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,407に対して、下落銘柄数は202となった。騰落レシオは106.15%。東証プライムの売買代金は4兆1858億円。
TOPIX +47 @2,730
日経平均 +630円 @37,785円
先週金曜日の米国では、米1月個人消費支出(PCE)価格指数が予想と一致した(前月比+0.3%となり12月から横ばいだが事前の予想通り、前年比+2.5%<12月+2.6%となり予想通り)。特に米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視するPCE価格指数がマーケットの予想通りだったことで利下げ期待が高まった。その結果、米10年債利回りは前日の4.287%から一時4.193%まで低下した後、4.210%で終えた。月末の持ち高調整やリバランス目的の買戻しが活発化して買い優勢の内に終わった。
本日3月3日の東京市場では、自律反発狙いの買いが活発化して日経平均は大きく反発した。米エヌビディアが反発したことで相場のセンチメントが改善した。先週に大きく下げたトヨタ自動車やホンダなど自動車株や機械株、三菱UFJや東京海上など銀行・保険株に加えて、米国とウクライナの首脳会談決裂を受けて三菱重工・川崎重工・IHIなど防衛関連銘柄が目立って買われた。しかし、アドバンテストなど半導体関連銘柄の一部は戻りが弱い。トランプ米大統領は3月4日からメキシコ・カナダに対して追加関税を課すと明言しているので、その影響を警戒している。
日経平均の日足チャートを見ると、長い下ひげを引いた短陽線で反発したが、まだ前日の長大陰線の実体部分を上抜け出来ていない。形としては「はらみ線」となった。明日、この陰線を上抜けして終えることができれば、「はらみの上抜け」となり、上方向への弾みが付く。
33業種中すべての業種が上げた。上昇率トップ5は、サービス(1位)、保険(2位)、輸送用機器(3位)、証券(4位)、卸売(5位)となった。
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