監修者まえがき 1 謝辞 11 はじめに 仕事をやめる方法――それも永遠に! 15 パートⅠ 仕事をやめるための計画作り 第1章 二度と働かなくてよくなるためにすべきこと 29 経済的自立の目標額を算出する 30 経済的自立のための目標額の意味 37 第2章 経済的に自立するための貯金 39 まずは自分のための支出――自動積立で投資資金を貯める 40 複利の力を使う 40 貯金の仕方を学ぶ 43 第3章 2~3年で借金をなくす 47 苦労しないで支出を減らす方法 48 税金が最大の支出になっている場合もある 52 優先支払いテクニックで負債を減らす 55 負債を減らすためのさらなる工夫 59 第4章 持っている資産を最大限に生かす 63 株式――この資産が何をしてくれているか 63 手持ちの資産を入れ換えてリターンを最大にする 67 パッシブ収入を大幅に増やすための追加戦略 73 パラダイムシフト――経済的自立までの道は思ったより近い 76 パートⅡ 良い時期も悪い時期も利益が上がる株式マーケット戦略 第5章 株式市場が大変なときでも大丈夫 85 常識の真相を暴く――マーケットの18年メガサイクル 87 マーケットはどこまで下げるのか 90 どのような状況においてもマーケットの動きを理解する 94 たくさんの情報を儲かる戦略に転換する 100 第6章 来るべきミューチュアルファンド危機――危険を逃れ、利益に向かうための舵取り 105 ミューチュアルファンドの「触れられたくない秘密」 107 ミューチュアルファンドをうまく利用する 110 ヘッジファンド――純粋なパッシブ投資 113 第7章 状況が悪くても高利益を上げるための戦略 117 戦略1――ベア・ミューチュアルファンドを利用して儲ける 118 戦略2――個別銘柄の下落で儲ける 126 第8章 安全に株を買うための戦略―常識に代わるアイデア 133 手法その1――ニュースレターの推奨に従う 134 手法その2――効率のよい株をトレードする 141 手法その3――大幅に過小評価されている銘柄を買う 147 すべての戦略を利用するときの重要情報 156 パートⅢ 経済的自立のためのさらに儲かる戦略 第9章 インフレやデフレから身を守る方法 161 1930年代のようなデフレ型不況の再来はあるのか 164 1970年代末のようなインフレスパイラルの再来はあるのか 169 4つ星システムでインフレやデフレを追跡する 171 指標を使って儲ける方法 177 第10章 ドルと金利―脅威を富に転換する 183 「悪いけれどヨーロッパ旅行はあきらめてほしい。そんなお金はないんだ」 185 お金に影響を及ぼすたった2つの要因 187 ドルの価値を追跡する 188 金利がドルや個人の資産に与える影響 191 最大利回り戦略――1年に1回の作業で安全に2桁の利益を上げる 192 最高利回りゲームを簡単に実行するには 195 大きな利益を求めて地球の裏側に行く 196 金利環境に応じた最高の戦略 198 自分で金利をモニターする 199 第11章 不動産投資を増やす 203 不動産は本当によい投資先なのか 204 不動産投資のマイナス面 204 不動産投資のプラス面 206 外国不動産投資――5つのメリットと3つの儲ける方法 209 不動産投資のカギをにぎる不動産サイクルを理解する 211 不動産で儲ける方法 212 不動産はほかの資産より有望 213 不動産マーケットをモニターする方法 214 第12章 利益の出る不動産投資戦略(ジョン・バーリー) 219 戦略を選ぶ 220 戦略1――バイ・アンド・ホールド戦略 220 戦略2――クイック・キャッシュ戦略 227 戦略3――キャッシュフロー戦略 233 パートⅣ 経済的自立のためのセーフガード 第13章 投資を成功に導く6つのカギ 243 基本その1――資産を守る 244 基本その2――損失は小さく抑える 250 基本その3――勝ちトレードは伸ばす 255 基本その4――リスクとリワードの関係を理解する 260 基本その5――自分に合った投資の頻度を理解する 268 基本その6――仕掛ける前にポジションが有利な方向に動いていることを確認する 270 第14章 目標を達成するためのポジション調整 277 おはじきゲームで学ぶポジション調整 277 ポジションの大きさ(ポジションサイズ)を算出する 282 目的を達成するためのポジション調整 286 安全なポジション調整戦略 291 ポジション調整に関してよくある質問 301 第15章 自分の戦略を知る 309 なぜ自分のシステムは機能するのか 310 マネーゲームを理解する 316 マーケットのタイプ別で見た投資戦略のパフォーマンス 322 自分のシステムから期待できること 324 戦略が機能しているかどうかの判別方法と定期点検 335 パートⅤ 将来に向けて 第16章 間違いを修正する――すべてのカギ 343 厳しい現実――人は望んだものを手に入れる 347 自分で責任をとる――ゴールにもっとも近い方法 347 自分の間違いを率直に認める 351 間違いを正し、軌道に戻す 353 第17章 将来を守る――子供や孫を教育する(ジャスティン・フォード) 361 しっかりとした習慣をつける 362 1カ月のおこづかいが4000ドルとか1万8000ドルに増えたらどう思う? 363 良いお金の習慣を身につけるための、脅威の2ボックスシステム 364 なぜ半分がいいのか 366 「おねだり」の予防薬 368 6つのスーパー貯蓄率 369 種を育てる 370 結論 373 第18章 今すぐ始めよう 377 ステップ1――経済的自立の計画を立てる 378 ステップ2――今日のマーケットに影響を与える主な要因について学ぶ 379 ステップ3――リスク管理を理解し導入する 381 ステップ4――自分自身と次の世代のためにすべきこと 384
本書は安全な投資戦略によって経済的自立を達成するまでのステップを具体的かつ詳細に記述した“Safe Strategies for Financial Freedom”の邦訳である。バン・K・タープ博士の前作である『魔術師たちの心理学――トレードで生計を立てる秘訣と心構え』(パンローリング)はシステムトレーディングに関する絶好の教科書であったが、本書は経済的自立に焦点を当て、だれもが実行可能な投資戦略と資産を守るノウハウに満ちた内容になっている。
読者の多くは年金などに頼らずに経済的自立を実現することは難しいと考えることと思う。簡単に思いつく方法は、利子や配当だけで生活することだが、これには巨額の資産が必要となってしまう。本書は、何億という資産を築かなくとも、発想の転換と年十数パーセントの運用能力(あるいはそれ相当の不労所得)さえあれば、経済的自立が実現できることを教えてくれる。
本書を読むことによって、これまで雲の上の存在だったものが、努力すれば手が届くかもしれないというレベルにまで近づくことだろう。経済的自立を目標としなくとも、本書を通して伝授される数々のノウハウは、投資の実践においてとても役に立つはずだ。翻訳を担当した井田京子氏、編集・校正を担当した阿部達郎氏には感謝の意を表したい。両氏の偉業なしには本書を日本に送り出すことはできなかったであろう。また本書をタイムリーにリリースできたのは後藤康徳氏の英断のおかげである。
タープ博士は経済的自立を実現するための一番の鍵となるのは自分自身だと教えている。「自分の人生は自分でコントロールできる」とは、何と心強い言葉だろう。監修者もこれまでを振り返り考えると、博士に百パーセント賛同したい。 読者もいつの日か経済的自立を達成し、新しい人生を手にすることを願って止まない。2005年2月
柳谷雅之
経済的な自立は可能である。そしてこれを達成すれば、さまざまな可能性が開けてくる。仕事をやめることだってできるし、収入のため会社に頼る必要もなくなる。だから、そりの合わない上司の命令に従わなくてすむし、通勤地獄からも開放される。そして、何より重要なのは、自分の好きなことを始められることだろう。家族や友人とすごす時間も増える。できれば、新たに得た時間の一部をほかの人のために使ってもらえばなお嬉しい。また、本書をヒントにして自由になった時間の一部で、新たな投資チャンスを見つけたくなるかもしれない。経済的な自立は、手の届くところにある。これは、最低賃金で働いて毎日のやりくりに苦しんでいる労働者でも、仕事が楽しくてたまらないエリートでも変わらない。いずれにしても、2~3年で経済的自立を確保する方法を習得することができるだろう。実際、節約型のライフスタイルを会得した人ほど、自立は楽に達成できる。本書では、この方法を詳しく説明していくが、これはクーポンを集めたり、1セント単位の節約をしようというのではない。経済的自立は、現在のライフスタイルを維持しつつ(あるいはそれを向上させながら)仕事はしなくてよいという状態を意味している。もし仕事を続けたいのであれば、余ったお金で生活水準を上げたり、ほかの人を助けたりするなど、選択肢はたくさんある。
本書は、自由を永遠に手に入れるための簡単な戦略を学ぶためのもので、これを会得すれば好きな所に住み、好きなことをして暮らせる。そしてそのためには、パートⅠの簡単な演習を行い、パートⅡとⅢの戦略のいくつかを実行しつつ、パートⅣの手法でリスクを管理すればよい。一度始めてしまえば、1カ月ごとに経済的自立に近づいていくのが実感できるだろう。本書では、この過程をモニターする方法も合わせて学んでいく。
筆者がこの概念を最初に学んだときには、これを実行して経済的に自立するまでに6カ月かかった。次に、この原理を「インフィニット・ウエルス」というワークショップで教え始めた。このワークショップには30人が参加したが、終了した時点ですでに5人が経済的な自立を果たしていたということが分かった。彼らはお金のことで悩んでいた。そうでなければセミナーに参加していない。ところが5人が経済的自立を果たすために必要だったのは、発想の転換と、いくつかの簡単なステップだけだった。残りの25人は自立するために6カ月~5年かかるという見通しが立った。現在、筆者のもとには参加者から成功談が次々と寄せられている。そのうちのいくつかは、本書のなかでも紹介している。
本書を読めば、経済的な自立は実現可能な目標になる。これは、何も世界中のお金を手に入れようなどということではないし、どんなに浪費しても遊んで暮らせるとてつもないお金を稼ぐということでもない。経済的な自立というのは、発想を転換してお金のために働くのをやめ、お金に働かせるようにするということで、現在の経済状況と心理状態にもよるが、6カ月から7年くらいの期間で達成できる。これは、パッシブ収入、つまり仕事をしてもしなくても手に入る収入を確保するということで、もしこの収入が自分の支出より多ければ、仕事を続ける必要はなくなる。
経済的自立は、お金をいくら持っているかということでも、おもちゃをいくつ持っているかということでもない。この概念は、20世紀が生んだ創造の天才、R・バックミンスター・フラー博士が考案したもので、バッキー(博士の愛称)曰く、「もし、今日仕事をやめたらこれまでどおりの生活をあとどのくらい続けられるのか? もし1カ月ならば1か月分の金持ち、5年ならば5年分の金持ちということになる。そして、もし永遠に持ちこたえられるならば、インフィニットリー・ウエルシー(永遠の金持ち)ということになる」。多くの人は、これを「1カ月に4000ドル必要で、貯金が40万ドルあるならば、100カ月分の金持ちだ」と解釈する。
しかし、これにはもっとよい見方がある。もし、40万ドルの預金がパッシブ収入、つまり仕事をしなくても得られる収入を生めばどうなるだろう。例えば、もし40万ドルを特定の株式に投資して、それが12%のパッシブ収入を生めば、年間で4万8000ドルが手に入る。これを12カ月で割ると1カ月4000ドルになり、永遠に経済的に自立して暮らしていけることになる。もう二度と仕事をしなくてもよいのである。
もちろん、いくつかの問題点はある。12%も配当を支払ったり、値上がりしたりする銘柄なんて非現実的だと思うかもしれないが、それは違う!正しい投資先さえ探すことができれば、今日のマーケットでも15%以上のリターンを生む銘柄は存在している。例えば、スティーブ・ジュガード(著者のひとり)は、最近見つけたいくつかの銘柄を「仮想銀行」と呼んでいる。そのうちのひとつであるアンウォースは、2002年8月に初めて推奨して以来、配当が2年間で43%に上っている。また、2003年3月に推奨したアナリー・モーゲッジもこれに近い配当を行っている。本書執筆時点でも、2社は高水準の配当を維持しているうえ、ジュガードの推奨以降、大きく値上がりもしている。どんなときでも、チャンスは存在している。ただ、本書は銘柄選択に関する本ではない。筆者のゴールは、このようなチャンスを見つける方法を伝授すること、いやそれよりもさまざまな投資分野でこれより高いリターンを得る戦略を示すことといってよいだろう。
ここで、経済的な自立に必要な4000ドルに、税額を含めるべきかどうかが気になるかもしれない。もちろんこれは含むべきだが、もし4000ドルが税引き後の金額であれば税額を最低額に下げる工夫をするか、1カ月の必要額に含めるかのどちらかにすればよい。ちなみに、パッシブ収入の税率は所得税よりかなり低い。お金に働かせたリターンにかかる税金は、お金のために働いて得た収入にかかる税額よりはるかに少なくなる。
それでは、もし株価が下がったり、配当額が減ったりしたらどうなるのだろう。これは、リスク管理上、当然考慮するべき点で、これについてはパートⅣを読んでほしい。大事なのは、さまざまな分野からパッシブ収入を得られるようにしておくことで、こうしておけばひとつの分野が低迷しても、別の分野がそれを補ってくれる。もし、パッシブ収入が支出より多ければ、仕事をする必要はない。つまり、永遠の金持ちになって経済的な自立を果たしたことになる。
経済的自立の公式の残り半分は、支出に関する作業になる。筆者の場合は、2年間ほど買い物に夢中になった期間があった。思いつくかぎりほしいおもちゃはすぐ手に入れた。おもちゃを手に入れることは筆者にとって最高の喜びである。しかし、一度手に入れてしまうと今度は自分がおもちゃに所有されているような気分になる。故障したら直し、磨き、なくなっていないか確認しなくてはならないのに、売るときには購入金額をかなり下回る。やはり、これは所有されているというべきだろう。
現在の消費者社会では、満足を得るために大きな家、高級車、たくさんのおもちゃなど贅沢品を手に入れる必要があると教えられる。「一番たくさんおもちゃを手に入れた人が勝ち」というのが、多くの人にとって生活のルールになってしまっている。このような発想はすぐに手に入る喜びを求め、これはたいてい自分が持っている以上の支出、つまり借金につながる。そして、それを助長するように大学に入った途端、クレジットカードを持つことも可能になる(アメリカの大学の3年に在籍しているマレーシア人の姪がいるが、この国で一度も働いたことがないのに、クレジットカード入会のダイレクトメールが毎週2~3通は届くという)。クレジットカードで大きな負債を抱え、年間18~21%という利息を支払っている人がたくさんいる。ちなみに、世の中の金利が下がっても、大部分のクレジットカードの金利は下がらない。
社会人になるとき、ほとんどの人がすでにクレジットカードの負債を抱えている。そして、頭金が貯まると、すぐに住宅ローンを借りて借金を一本化する。しかし、こうなるとさらにクレジットカードの借り入れが増え、結局は家を失うことになりかねない。平均的なアメリカ人世帯では、クレジットカードの負債が7000ドルを超えており、このために毎月約100ドルを支払っている。恐らくこの100ドルは毎月の貯蓄額をはるかに上回っており、この状態が多くの人を経済的自立から遠ざけている。
USAトゥデー紙(2003年8月12日)によると、平均的な大学4年生は、3000ドル以上のクレジットカード負債を抱えており、そのうちの28%は7000ドル以上だという。これにさらに学費ローンも加わるため、負債は慢性的な問題になっていく。これに対処する方法は第3章を見てほしい。
お金に関する知識は、友人や家族から学ぶことが多い。この人生における臨時学校では たいてい「しっかり勉強すればよい会社に入れる。そうすれば、よい家も新車も大型テレビも変える。住宅ローンは1カ月1200ドル、自動車ローンは400ドル、テレビのローンも120ドルだから十分返済できる」などというアドバイスがなされる。しかし残念ながらこれでは経済的自立に近づくことはできない。むしろ、これは所有しているかぎり今後もお金のかかる物のために働き続けるという条件を整えてしまう。もし、銀行にお金を借りに行けば、これらの資産が担保にされてしまう可能性だってある。
ここで、「資産」の正しい定義を紹介しよう。資産とは、プラスのキャッシュフローを定期的に生むもので、所有しているだけでお金を生むものであれば、どんなものでも含まれる。逆に、所有していることが支出につながるものは、負債ということになる。
この定義を基にして考えると、現在住んでいる家は恐らく負債に当たる。もし、住宅ローンが終わっていたとしても、住んでいれば保険、税金、修繕費などがかかるためで、逆に1セントのキャッシュフローも生んでいない可能性が高い(価格が上がっていれば収入を生む資産だという反論があるかもしれないが、売らないかぎりその収入は得られない)。また、この家があれば家賃の支出がなくなるという考えもあるが、これは単に負債が減少しただけで、ここでいう資産にはやはり該当しない。本当の資産として認められるためには、定期的な収入、つまりプラスのキャッシュフローを生む必要がある。
筆者は、自分の所有物に所有されているということを考えるようになって、フラーの唱えた永遠の富という概念をそれまでとは別の形で捉え始めた。そして、パッシブ収入と永遠の富を組合せて考えるようになったとき、経済的自立の目標額が急速に減り始め、6カ月で経済的自立を達成してしまった。このために特別な頭脳は必要ない。簡単な発想の転換と、いくつかの行動を起こせば、だれにでもできる。
本書のゴールは、このように発想を転換させ、実際にとるべきステップを伝えることにある。ここでカギとなるのは、自分が経済的に自立できる金額を知ることで、だれかに聞かれたら即座に「あと1カ月2400ドルで経済的に自立できる」などと答えられるようになってほしい。経済的自立とは、この数字を減らしていくことであり、本書を読めばそれを実現する方法が分かる。
本書は、5つのパートに分かれている。パートⅠは、経済的自立を達成するために必要なステップが示してあり、ひとりひとりに合った計画の立て方を4章にわたって紹介していく。このパートを読み終えれば、これが実現可能であることを納得してもらえるだろう。
パートⅡは、株式市場について書いてある。年間20%以上のリターンを上げるための戦略も紹介している。第5章では、株式市場の長期的な展望を検証していく。また、簡単な1-2-3モデルを更新して自分自身で今後もマーケットの検証を続けられる方法も学ぶ。もちろん株価が下落したり、横ばいのまま推移する可能性もあり、今後10年間で多くの人が損失を被るだろう。しかし、ここで紹介する投資原則に基づいたモデルで、マーケットの状況を把握しておけば、20%以上、いやそれよりずっと高いリターンを上げることも可能になる。
第6章は、株を買って単に保有することの危険性について述べてある。しかし、ケン・ロングがミューチュアルファンドを乗り換えながらマーケットリターンを上回る戦略を開発してくれた。この最新バージョンの入手方法や、絶対的なリターンを誇るヘッジファンドを買える人のために、それに関する情報も載せてある。 第7章では、マーケットが下げているときにパフォーマンスを上げるための戦略を学んでいく。2001年と2002年にベア相場用のミューチュアルファンド戦略のひとつを採用していれば、両年とも25%以上のリターンが上がっていたことになる。第8章は、今日の株式市場で特によく機能する戦略を紹介している。あとは、自分に合うものを選ぶだけでよい。
パートⅢでは、上記以外の戦略を見ていく。インフレやデフレをモニターして、もし再びインフレになったら第9章の資産タイプに投資することで大きなリターンを得ることができる。ここでは、景気の状況に合わせた資産の選び方について学んでいく。第10章は、米ドルが大幅に下落した場合に金利戦略で利益を上げる方法について書いてある。このなかには、毎年一度判断を下すだけで、米ドルの変動を避けることができる戦略も含まれている。ドルの価値が下落しているときもっとも効力を発揮するこの方法を実行していれば、1970年に投資した1万ドルが、今日では32万3000ドルになっていた計算になる。
第11章は、不動産市場に影響を及ぼす要素について簡単に紹介したあと、第12章で最高の不動産戦略のいくつかを学ぶ。第12章を執筆したジョン・バーリーは、年間リターンが40%以下の案件には見向きもしないのに、過去10年間で1000件以上の契約を結び、それぞれが毎月収入をもたらしている。バーリーのやっていることは読者にもできる。
パートⅣは、リスク管理について書いてある。本書のなかでこの部分がもっとも複雑だが、もっとも重要なところでもあるといってよいだろう。ここで紹介するテクニックがパートⅡとⅢで紹介した素晴らしい戦略を安全性の高い戦略へと変換させる手助けをしてくれる。もし、25%や50%のリターンが上がるとしても、すべてを失う可能性があるのならば価値はない。パートⅣはそのようなことが起こらないための情報だと思ってほしい。
第13章は、選択した戦略を安全に実行するための6つの基本概念を紹介する。そのうちのひとつは、いつどのように戦略を終了するのかということで、第14章のポジション調整は本書のなかでももっとも重要個所といってよいだろう。どんな戦略もポジション調整をしなければ、安全とは言えない。しかし、なかにはこれを知らないプロもいる。逆にいえば、ここを理解することで同じ目的を持ったプロよりも優位に立つことができるようになる。この章の内容は、完全に理解してほしい。
第15章は、戦略を隅々まで知るということについて述べている。マクロ経済がマーケットに与える影響をモニターしつつ、採用した戦略のリスク・リワード配分をシミュレーターにかけることで将来の期待値を知ることができるようになっている。
そして、パートⅤは将来について書いてある。第16章では、間違いを修正する方法について学ぶ。これを読めば投資家としてもっとも重要な資質は責任感だということが分かるだろう。もし、この資質を備えていれば、間違いを犯してもそれを修正して運命を自分で作り上げていくことができる。逆に、もしこの資質がなければ、同じ間違いを何度も繰り返すことになる。
第17章は、将来の安定を確保するために子供たちを正しく教育することについて書いてある。ジャスティン・フォードが子供たち(および孫たち)が喜んでできる簡単な戦略を教えてくれる。今から始めておけば、大学を卒業するころには経済的に十分自立できている可能性も高い。ここはぜひ、よく読んでほしい。
最後に、第18章は今すぐ始めるための4つのステップを紹介している。このなかには、景気を見極め、機能する戦略を探すことや、自分と現在の状況に合った戦略を選択する方法、戦略を安全に実行するためのリスク管理の仕方、そしてもっとも重要なステップである継続ということについてもふれている。経済的自立を達成するためのもっとも重要な要素は、自分自身なのである。 本書は、読者がこれまで読んだなかでもっとも重要な本になるかもしれない。それではさっそく始めよう。
もし、仕事にうんざりしていたり、仕事は好きでももっとほかにやってみたいことがあれば、本書が役に立つだろう。これはすでに多くの人が発想を転換して5年以内に経済的自立を果たすのに使った簡単な公式を学ぶためのもので、これを学んだ人はたいてい3カ月~2年で実現する見通しが立つ。そして、しばらくすると、その成功談が次々と寄せられてくる。
フレッドのケースを見てみよう。4年前にピーク・パフォーマンスというセミナーに参加したとき、彼はあまりお金を持っていなかった。そのうえ、今ある資金も再び学校に通うことで吐き出そうとしていた。しかし、このセミナーに参加することで、フルタイムの学生でありながら経済的自立への道も歩み出した。セミナーのあと、フレッドは妻と一緒にピーク・パフォーマンスの概念を実行に移した。まず、それぞれが別々に自分に必要なものを見極めたあと、今度は二人で金銭的なこと以外の価値観も含め、目指したい方向を定めた。
そして、経済的自立に向けて何段回かに分けた戦略を組み上げた。これは低リスクで高利回りの株式と不動産投資、および住宅ローンの早期返済を中心にした計画になっていた。フレッドは、ダウの配当利回り戦略が自分にはぴったりくると考え、これを妻とともに開設したロス個人退職金口座(利子に一切税金がかからない口座)でトレードし始めた。
不動産戦略は、安定したキャッシュフローを目指して住宅用の物件を購入し、貸すことにした。また、買取選択権付き賃貸にするか、自己金融にして、非課税の利益を目指すことにした。フレッドの試算では、二人の負債がなくなればキャッシュフローを確保するために必要なのは良い不動産5つだけで、あとは堅実な株式だけで経済的自立を目指せばよいことが分かった。そして、それから2年でフレッドは40の物件を所有し、それらがすべてプラスのキャッシュフローを生んでいた。この間、フレッドは学業に専念し、パートナーが資産を管理していた。しかし、卒業したければ不動産はやめろと教授に通告され、この時点でパートナーとは離れた。
フレッドは、今でも5つの不動産を所有し、妻と分も含めて自動車ローンを払い終え、株を売ればいつでも住宅ローンを終えられるようになっている(返済を早め、あと2~3年でローンが終了するため、今のところ特にこれ以上急ぐ必要がない)。つまり、株と住宅ローンの早期返済だけで二人はあと4年で負債を完済できる状態に達している。妻は、不動産ブローカーの講座を終了して、フレッドとともに仕事を始めるのを楽しみにしている。本書が出版されるころにはフレッドもすべての単位を取得して、卒業後3~6カ月で経済的自立も手に入れることができるだろう。フレッドは、ピーク・パフォーマンスセミナーを基にして、彼と妻の目標を統合したことが、二人の投資戦略の原動力になったと確信している。
フレッドは、自分自身を知り、自分の性格に合った低リスク、高利回りの戦略による自立の計画を立てたあとは、それに焦点を絞って実行していくことで自立が実現できるということをよく理解している。そして何より大事なことは、彼が人生でもっとも価値があると考えることのすべてを厳選して、そこに集中することで実現したことだろう。このなかには、お金以外のゴールも含まれている。彼は今、尽きることのないお金への欲求を満たし続けるのではなく、1日1日を楽しみながら生きている。また、経済的自立を目指すピーク・パフォーマンスへの道の途中で、お金以外の思わぬ財産も手に入れたと言っている。このなかには、夫婦の絆が強まったこと、ほかの人の意見に頼らなくなったこと、バランスのよいダイエットによってアルコール消費量が減った代わりにフィットネスに目覚めたこと、見習いたいと思える人たちとの出会ったことなどが含まれている。
フレッドができたことは、読者にもできる。ここで約束しよう。パートⅠの課題をこなせば、1~7年(個人の現在の経済状況によって変わる)で経済的な自立を達成するための計画の立て方が分かる。そして、計画さえ出来上がれば、もう自立への道はスタートしたといってよい。
本書の後半では、普通は夢でしかないと思われているリターンを得るための戦略について学ぶ。マーケットの状態を読んで、今どんな戦略ならば機能するのか、そしてそのなかでどれが自分に合っているのかを選ぶ方法を紹介する。そして、さらに儲かる戦略を安全なものにするための方法についても学んでいく。このなかに、難しいステップはひとつもない。ひとつひとつを実行していくということがすべてだと、思ってほしい。
パートⅠは、経済的自立を実現するための計画作りを具体的かつ徹底的に紹介している。第1章では、経済的自立を実現するための計画作りを徹底的かつ具体的に紹介する。自立のための目標額を定めるためのテクニックをステップごとに示し、これをゼロ以下にしていくことで自分の将来を変えていくことができる。しかし、そのためにはまず行動を起こさなくてはならない。
第2章は、経済的自立の基本概念である自分への投資(貯蓄)について書いてある。他人をあてにせず、まずは自分のために支出しよう。ここで紹介するスタートのためのテクニックを参考にしてほしい。
第3章は、経済的自立のための目標額を減らすために、すぐできることを示してある。これは、何もライフスタイルを変えるということではなく、支出を減らすための簡単なステップが示されている。
第4章は、自立の目標額のもうひとつの側面、つまり資産について書いてある。ここでは、まず手持ちの資産をすべて書き出し、それがどれだけのパッシブ収入を生んでいるかを調べる。そして、この情報をもとにこれらの資産を使って安全性を確保しつつさらに高いリターンを生む方法がないかを考えていく。本書後半では、今日のマーケットでも安全にリターン率を上げる方法を紹介している。しかし、まずは自分の現状を現実的に把握することが第一ステップになる。
そのほかに、本書ではパラダイム・シフト、つまり考え方の元になる概念的枠組みを変えることについても紹介していく。簡単なパラダイム・シフトとほんの少しのステップを踏むだけで、経済的自立はすぐに実現する。そして、そうなったら永遠に働かなくてすむのである。
第6章では、ミューチュアルファンドの実情を理解する。マーケットが長期で下降しているときに、ミューチュアルファンドに資金を寝かせておくのは危険なことで、この多くが10年後は生き残っていない可能性もある。しかし、ミューチュアルファンドで毎年マーケットの平均リターンを上回る方法がないわけではない。第6章ではその方法に加え、ヘッジファンドが適した人にはその情報の得方も紹介する。
第7章は下降相場で大きな利益を上げる方法を見ていく。ベアファンドへの投資の仕方や、多分に過大評価されている銘柄を見つけてその下げに便乗することで、大きな利益を上げる方法を学んでいこう。
第8章でも、さらにカギとなる株式戦略を紹介する。ここではニュースレターの推奨記事をどのように見きわめ利用するかや、効率的な銘柄の見分け方と買い方などを見ていく。後者のテクニックは、マーケットの回復期にとてもよく機能する。そしてもっとも重要なのが、清算価格よりさらに割安に買う方法だろう。もしマーケットの見通しが正しければ、このテクニックを使って割安株のポートフォリオを揃えておくことで、マーケットの回復期にこれらの銘柄がトップパフォーマンスを上げてくれるかもしれない。そして、最後に、これらをほとんどリスクなしに実行する方法も伝授する。
第9章では、今日の経済にのしかかる巨大なデフレ圧力について述べている。FRBは何をおいてもデフレを阻止すると約束しているが、どうにもならないだろう。ここでは、インフレやデフレのシナリオを自分でモニターし、深刻な状況に入ったときどうすればよいかも学んでいく。
第10章では、ドルと金利について見ていく。自国の通貨の状態を見極め、その強弱にかかわらず利益を上げる方法を学んでおこう。通貨の価値が下がると資産が大幅に減ることになりかねないため、これは非常に重要な章だと思ってほしい。実際、多くのアメリカ人が資産価値が減っていることに気づいてもいない。ここでは、金利が通貨に与える影響と、金利が低くても上昇していても、高くても、安定していても利益が上がる方法を伝授する。
第11章と第12章は、不動産について述べる。第11章は、不動産価格に影響を与える要因について学ぶ。不動産投資は富を得る最善の方法のひとつだが、タイミングが悪ければすべてを失うこともあり得る。そのため、第12章ではカギとなる要因をモニターする方法を学んでいく。不動産スペシャリストのジョン・バーリーが、経済的自立の目標額を劇的に減らす3つの戦略を紹介してくれる。しっかり学習すれば、大きな富を手にすることも夢ではない。
第13章は、投資を成功させるための6つのキーポイントを紹介する。このなかには、手仕舞いの時期をはっきりと設定しておくことで資産を守り、損失を押さえ、利益を伸ばしていくことや、期待値を理解することで、投資の頻度と最終利益の関係を知り、自分に優位に動いているポジションだけを保有することなどが含まれている。
第14章は、ポジション調整、つまりどの程度のリスクならとれるのかを学ぶ。戦略を安全に進めつつ、目指す結果を出すためにもっとも重要な要因のひとつになる。
第15章は、使った戦略が機能しているかを見極める方法を説明する。また、投資結果に影響を与えかねない最新のマクロ経済要因の把握の仕方も学んでいく。ここでは、無料の情報源も合わせて紹介している。
パートⅣを読めば、マーケットのタイプに合わせた戦略を選び、そこから発生するリスクとリワードをシミュレーターに入れれば正確な期待値が分かる。正しい戦略かどうかはそれで判断すればよい。リスク管理は非常に重要であり、自分の戦略が安全だということを知っていれば安眠できる。
まず、第16章では成功のための最重要項目である責任感について述べる。ここでは自分の行動がいかにして結果につながっていくかを学ぶ。これをマスターしなければ、永遠に同じ間違いを繰返すことになるということも理解してほしい。しかし、もし自分を変えることができれば、経験が前進し続けるための学習体験になっていく。
次に、将来を守る方法として、経済的自立を自分の子供や孫に教える方法を学んでいく。第17章では、ジャスティン・フォードが子供が喜んでできる貯蓄と投資のテクニックを紹介する。これをマスターすれば、大学を卒業してほどなく経済的自立を達成することも可能になる。
第18章は、今すぐ始めるための4つのステップを紹介する。今、前進を阻んでいる唯一の理由が自分自身だということは、先に述べた。ここでは、自己破壊の症状と経済的自立の達成を助けてくれる情報も紹介する。
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