優利加の「生涯現役のトレード日記」
下向きの260日移動平均線が暗示することは・・・
06月06日
昨日の米国株式相場は反落した(DJIA -108.00 @42,319.74, NASDAQ -162.04 @19,298.45, S&P500 -31.51 @5,939.30)。ドル円為替レートは143円台後半での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が861に対して、下落銘柄数は710となった。騰落レシオは109.27%。東証プライムの売買代金は3兆6054億円。
TOPIX +13 @2,769
日経平均 +187円 @37,742円
米国では、前日に発表された5月ADP民間雇用統計が弱い結果だったことに続き、この日に発表された新規失業保険申請件数も24.7万件(>予想23.5万件、前週発表分23.9万件)と悪化した。翌日に発表を控えている5月雇用統計も弱い結果が予想されている。米国の労働市場は減速している可能性が高い。この流れの中、テスラのCEOイーロン・マスクとトランプ米大統領がSNS上で公然と非難し合うようになり(2人の性格を考えるとこうなるのは時間の問題だったが)、テスラ株は14%超急落した。たった1日で21兆円相当の時価総額が吹き飛んだ。主要3株価指数は揃って下落した。
本日6月6日の東京市場では、5日にトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が関税政策を巡る電話協議を行い、米中貿易摩擦が緩和するとの期待と円安ドル高進行を背景に日本株は買われた。米中両首脳はレアアース(希土類)の輸出規制などを話し合い、関税政策についても2度目の閣僚級協議を早期に開くことで合意した。日経平均の上げ幅は一時200円を超えた。ただ、日本時間の今夜に5月米雇用統計の発表を控えているため上値は抑えられた。足元では相場全体が上がる地合いではないので、個別テーマを見つけて仕掛ける動きになった。現在の誰でも気づく相場テーマと言えば、防衛費増強、コメ価格高騰対策、全国で老朽化した下水インフラの更新などである。これらの相場テーマに合いそうな銘柄が目立って上げた。コメ関連では、全国に数千台の精米所を展開している井関農機は精米による収入が増えるとの期待から一時7.7%急騰した。
日経平均の日足チャートを見ると、6月2日以降はほぼ横向きの10日移動平均線を挟んで狭い範囲で小幅に上げたり下げたりを繰り返して方向性がない。ただ、もっと時間軸の長い260日移動平均線を見ると、今年3月下旬以降は傾きが下向きに転じていて、株価はずっとその下に沈み込んだ状態が続いているが、5月13日と5月29日の2日だけ、ザラバで一瞬この260日移動平均線に下からワンタッチしたがすぐに下に弾き返された。過去25年くらいの経験則(各自、自分自身の目で手間暇をかけて確認することを強く勧めます)では、260日移動平均線が下向きに転じると株価は下方向に振れやすい。反対に、260日移動平均線が上向きに転じると株価は上振れしやすくなる。但し、あくまでもこれは私が観察により気づいた「経験則」であり、何らかの明確な「理論」で裏付けられたものではない。
33業種中30業種が上げた。上昇率トップ5は、鉄鋼(1位)、建設(2位)、機械(3位)、倉庫・運輸(4位)、陸運(5位)となった。
世界の株式相場はTACOを織り込み始めている
06月05日
昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -91.90 @42,427.72, NASDAQ +61.53 @19,460.49, S&P500 +0.44 @5,970.81)。ドル円為替レートは142円台後半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が567に対して、下落銘柄数は995となった。騰落レシオは109.95%。東証プライムの売買代金は4兆2166億円。
TOPIX -29 @2,756
日経平均 -193円 @37,554円
米国では、5月ADP民間部門雇用者数(3.7万人増<予想11.0万人増、前月6.0万人)となり、5月ISM非製造業PMIが予想を下回る(49.9<予想52.0)弱い結果となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が4日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、前回の報告と比べて経済活動は「わずかに減速した」と総括している。トランプ大統領が自身のSNSで中国の習近平国家主席との交渉は「極めて困難」だと投稿し、米中貿易交渉進展に対する期待が後退した。このように景気減速懸念が高まったが、半導体株は上昇した。
本日6月5日の東京市場では、米トランプ大統領がまたパウエルFRB議長に利下げを迫っていることに加えて、米景気減速への警戒感が高まり、米中央銀行FRBが追加利下げを実施するタイミングが早まるとの観測を背景に、円相場は円高ドル安方向に動いた。値がさハイテクの一角は買われたが、自動車株など輸出関連銘柄を中心に売り優勢の展開となった。それでも、日本株は意外と粘り強い。2025年度の株主総還元額(=自社株買いと配当の合計)は前年度比6%増の40.6兆円に拡大すると推計されていることも理由の一つである。世界の株式相場はTACO(Tranp Always Chikens Out)を織り込み始めているようで、トランプ政権の関税政策に以前ほど振り回されることがなくなっている。7月9日には「相互関税」の上乗せ分の停止期間90日の期限が来る。そこでもまたTACOが繰り返されるかどうかに注目している。
日経平均の日足チャートを見ると、ほぼ水平の10年移動平均線の下にまた沈み込んだ。短期的には上方向のモメンタムの記憶が強く、上に行こうとするか。しかし、数か月先までにはトランプ関税の悪影響が世界各国の経済統計の数値に反映されるようになると、下方向への圧力が高まると見ている。
33業種中29業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、輸送用機器(2位)、石油・石炭(3位)、その他製品(4位)、建設(5位)となった。
7月初旬公示の参院選挙を控えて・・・
06月04日
昨日の米国株式相場は続伸した(DJIA +214.16 @42,519.64, NASDAQ +156.34 @19,398.96, S&P500 +32.43 @5,970.37)。ドル円為替レートは143円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,018に対して、下落銘柄数は536となった。騰落レシオは115.98%。東証プライムの売買代金は4兆854億円。
TOPIX +14 @2,785
日経平均 +301円 @37,747円
米国では、4月JOLTS求人件数が予想以上に増加したことや、米中首脳が週内に貿易交渉で直接対話することが相場の下支えとなった。主要3株価指数は揃って上昇し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も2.72%と2日続伸した。
本日6月4日の東京市場では、日経平均は直前3日間で約1,000円下げていて値ごろ感が高まっている中、米半導体株が高くなったことや、1ドル=144円台になる円安ドル高進行を好感して、特にハイテク株買いが優勢となった。米エヌビディアが上げたことでアドバンテストなどの値がさハイテク株も上昇した。日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。
7月初旬に公示される参院選挙を前に、与党から財政拡張政策を求める声が強くなっている。ただ、超長期国債は流動性が低く需要不足気味でもあり、超長期国債の利回りは上ぶれしやすい。これ以上の国債依存を避けたい石破首相は否定的であり、もし内閣不信任案が提出されたら即衆議院解散・総選挙に打って出るとのシナリオも急浮上している。それが実現すると、衆参ダブル選挙になり、政治不安を嫌う外国人投資家は日本株を売る可能性が高くなる。
日経平均の日足チャートを見ると、ほぼ水平となっている10日移動平均線の上に明確に再浮上したが、その方向への動きはまだ力強くはない。
33業種中26業種が上げた。上昇率トップ5は、その他製品(1位)、石油・石炭(2位)、パルプ・紙(3位)、保険(4位)、水産・農林(5位)となった。
ボディーブローのようにじわじわと効いてくる高関税と夏枯れ相場に警戒
06月04日
昨日の米国株式相場は小幅高となった(DJIA +35.41 @42,305.48, NASDAQ +128.85 @19,242.61, S&P500 +24.25 @5,935.94)。ドル円為替レートは142円台後半〜143円台前半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が568に対して、下落銘柄数は997となった。騰落レシオは116.41%。東証プライムの売買代金は4兆107億円。
TOPIX -6 @2,771
日経平均 -24円 @37,447円
米国では、米サプライマネジメント協会(ISM)が2日に発表した5月製造業景況感指数は48.5(<前月48.7)と悪化し、好不況の分かれ目の50割れが続いた。トランプ大統領の貿易政策の不透明感が依然として強く、ダウ工業株30種平均は一時400ドル下げる場面もあった。しかし、ホワイトハウス報道官がトランプ米大統領と中国の習金平国家主席が今週中にも協議する可能性が高いと述べたことで、米中貿易交渉の進展が期待された。結局、主要3株価指数は揃って上げて引けた。
本日6月3日の東京市場では、日本時間の今夜、パウエルFRB議長の講演を控えていることや、4月米雇用動態調査(JOLTS)が発表されるため様子見が支配的となった。さらに、月末ということもあり、機関投資家の利益確定売りや持ち高調整・リバランス目的の売りも出て弱い動きとなった。日銀の植田和男総裁が参院金融委員会で「将来の利下げ余地を作るために、経済・物価の改善が見込めない中で無理に政策金利を引き上げる考えはない」とハト派的な意見を述べた。この発言を受けて、外為市場では円相場は1ドル=143円台前半まで下げる円安ドル高となった。トランプ政権が日本に対しても防衛力増強を求めていることを背景に、三菱重工、IHI、川崎重工の重工3社の上昇基調が継続している。特にIHIは信用倍率(=信用買い残÷信用売り残)は0.54倍と信用売り残が多く、売り方が「踏み上げ」られているため、さらに上昇が勢いづきやすい。
日経平均の日足チャートを見ると、10日移動平均線は5月21日以来ほぼ横向きが続いている。まだ25日移動平均線が上向きで、株価はその上で推移しているが、足元のような動きがもう少し続くと25日移動平均線の下に沈み込みそうである。もしそうなると、5月13日と5月29日がダブルトップとなり、当面の高値を付けて調整し始めた可能性が高くなる。大きな好材料(例えば、米中関税問題の劇的改善)がないと、高関税の悪影響はボディーブローのように確実に米国だけでなく各国の経済に早晩現れる。ただでさえもうすぐ日本は「夏枯れ」しやすい夏になるので、要警戒である。
33業種中19業種が下げた。下落率トップ5は、電気・ガス(1位)、医薬品(2位)、卸売り(3位)、建設(4位)、サービス(5位)となった。
米中貿易交渉の先行き懸念が再び強まったので・・・
06月02日
先週金曜日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA +54.34 @42,270.07, NASDAQ -62.11 19,113.77, S&P500 -0.48 @5,911.69)。ドル円為替レートは143円台前半での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が562に対して、下落銘柄数は1,012となった。騰落レシオは116.69%。東証プライムの売買代金は3兆8398億円。
TOPIX -24 @2,777
日経平均 -494円 @37,471円
先週金曜日の米国では、トランプ大統領が自身のSNSで、中国が米国との現行の貿易協定に違反していると発言したため(6月2日に中国は公式にこれを否定)、米中貿易交渉の先行き懸念が再び強まった。他方、4月個人消費支出(PCE)価格指数などインフレの強弱を示す経済指標が弱くなり(+2.1%<予想+2.2%, 3月+2.5%)、インフレ懸念が後退した。FRBによる追加利下げ期待が高まり、株価を下支えした。
本日6月2日の東京市場では、米中貿易摩擦が再び激化しそうなことや、各国・地域に対する関税が強化されるとの懸念が高まり、売り優勢となった。米国ではハイテク株が売られた流れを受けて、アドバンテストなどのハイテク株だけでなく、日東電工やTDKなどの電子部品銘柄も売られた。
外為市場では、円相場が円高・ドル安方向へ動いた。トランプ大統領は鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税を現在の25%から50%へ引き上げると表明しており、日本製鉄JFEなど鉄鋼株は売られた。日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。赤沢亮正経済財政・再生相が6月5日から8日にかけて再びワシントンを訪問して、第5回目の日米関税交渉の閣僚協議に臨むことになっている。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップダウンして始まったが、上下に短いひげを引いた短陰線で十字線に近い形となった。5月22日安値@36,856円が下値支持線として意識される。
33業種中28業種が下げた。下落率トップ5は、ゴム製品(1位)、輸送用機器(2位)、精密機器(3位)、海運(4位)、電気機器(5位)となった。
円高ドル安進行と米関税政策を巡る不透明感で・・・
05月31日
昨日の米国株式相場は小幅高となった(DJIA +117.03 @42,215.73, NASDAQ +74.93 @19,175.87, S&P500 +23.62 @5,912.17)。ドル円為替レートは143円台後半の前日比円高ドル安水準での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄数の方がやや多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が939に対して、下落銘柄数は 632となった。騰落レシオは126.34%。東証プライムの売買代金は6兆5106億円。
TOPIX -10 @2,802
日経平均 -468円 @37,965円
米国では、予想以上の好決算(データセンター売上高が前年同期比73%増)を発表したエヌビディアが大幅上昇して(一時6.43%まで上昇)相場全体を牽引したが、トランプ関税を巡る裁判の不透明感により頭を抑えられた。前日引け後に米国際貿易裁判所がトランプ米大統領の「相互関税」を違法と判決して差し止めを命じた。しかし、トランプ政権が即時控訴したため、二審は一審の判決を一時的に停止することを命じた。トランプ政権は必要なら最高裁まで争う姿勢を示し、関税を巡る不透明感は増した。新規失業保険申請件数は24.0万件(>予想23.0万件)と予想以上に悪化した。米長期金利は低下した。
本日5月30日の東京市場では、円高ドル安進行と米関税政策を巡る不透明感と、好決算にもかかわらずエヌビディアの上昇力が期待していたよりも弱いことから、主力株を中心に売られる銘柄が多かった。日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。今日は売買代金が大きく膨らんだが、米MSCIの株価指数「グローバルスタンダード指数」の構成銘柄の定期入れ替えだったため。全体として150億円ほどの資金流出だった。1年前の時は推定で約2000億円だった。29日夜、石破茂首相が電話でトランプ米大統領と会談した。赤沢亮正経済財政・再生相は現地時間30日に、ワシントンでベッセント米財務長官らと日米関税交渉の4回目の閣僚会議に臨むことになっている。マーケットは関税交渉の行方に注目している。
この2週間ほど日経平均は総じて堅調だが、超長期金利は急上昇している。特に20年物と40年物国債の入札が不調に終わり、利回り(=金利)の上昇はが際立っている。年金基金や生損保など機関投資家の買い意欲が乏しいのが主な原因(=需給要因)で、今のところ日本国の信用悪化が原因ではない。ベンチマークの10年債利回りは足元では上昇が穏やかで1.5%程度ではあるものの、年初来では0.4%も上昇した。ファイナンス理論では、長期金利が上昇すると企業の資本コストが上昇するので、企業が将来に向けて稼ぎ出すと予想されるキャッシュフローを現在価値に換算するときの割引率が上がる。その結果、理論株価が下がる。金利が上昇してもそれは経済が好調なためで(=良い金利上昇)、企業業績がそれ以上に向上する(=将来の予想キャッシュフローが以前の予想以上に増加しそう)と投資家が期待する時は株価は上げる。現在は両者の綱引きがほぼ互角の力と考えられる。
日経平均の日足チャートを見ると、ほぼ水平となっている260日移動平均線を昨日回復したばかりだか、本日は反落してその下にまた沈み込んだ。5月13日も同じように260日移動平均線の上に1日だけ再浮上したがその後はまた沈み込んだ。トランプ関税の不透明感が根強い中、このまましばらく調整するか?
33業種中19業種が上げた。上昇率トップ5は、医薬品(1位)、水産・農林(2位)、電気・ガス(3位)、パルプ・紙(4位)、不動産(5位)となった。
エヌビディアの好決算とトランプ関税の無効判決により・・・
05月30日
昨日の米国株式相場は下落した(DJIA -244.95 @42,098.70, NASDAQ -98.23 @19,100.94, S&P500 -32.99 @5,888.55)。ドル円為替レートは145円台後半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プラムでは、上昇銘柄数が1,117に対して、下落銘柄数は437となった。騰落レシオは128.44%。東証プライムの売買代金は4兆7521億円。
TOPIX +43 @2,812
日経平均 +711円 @38,433円
米国では、エヌビディアの決算発表を控えて様子見姿勢が強まった。米連連邦公開市場委員会(FOMC)議事録要旨が公表され、トランプ関税が不確実性を高めていることを理由に当面は利下げに慎重な姿勢を続けると示した。さらに、米30年債利回りが一時5.0%まで上昇したこともあり、主要3株価指数は下落した。引け後にエヌビディアが予想以上の好決算(2025年2〜4月期)を発表し、時間外取引で約4%上昇した。
本日5月29日の東京市場では、エヌビディアの好決算と株高を受けて、東京エレクトロンやアドバンテストなどのハイテク銘柄を中心に買われて、日経平均は大きく上げた。さらに、米国際貿易裁判所がトランプ大統領が発動した関税を憲法違反で無効であるとの判決を下し、10日以内に関税を停止するための行政命令を出すようトランプ政権に命じたことが株価をさらに押し上げた。トヨタ自動車やホンダなど自動車株も買われた。ただ、無効判決の対象は「相互関税」と違法薬物対策などを名目に対カナダ・メキシコ・中国にかけている追加関税である。この無効判決の中に自動車・鉄鋼・アルミの関税は含まれていない、つまり、合法で有効であることに注意する必要がある。米憲法は、関税を巡る権限を連邦議会に与えている。トランプ大統領は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいてトランプ大統領がまず緊急事態を宣言した後、大統領権限で発動していた。これが越権行為と判決された。
債券市場(国債)を見ると、残存期間が長くなるほど金利が高くなる順イールドではあるが、10年を超える超長期になるほど金利上昇が著しい。これは日銀が10年もの長きに渡り、力づくで2〜10年の中長期債利回りと10年超の超長期債利回りを低く抑え込んで来たYCCの副作用である。生保を中心とした国内機関投資家は一旦買うと、通常、満期まで持ち切る。しかし、長期金利が上昇するなかで含み損を抱え込み、その処分で苦労しているため新規に国債を買う余力がない。したがって、利回りは下がらない。他方、海外投資家は裁定取引目的で持ち高を増やすことはあるが、彼ら以外に超長期国債を買う主体がいない。したがって、買い需要より売り需要が多くなりがちで、債券価格は下がり、その結果、利回りは逆に上昇する。これが今現在起こっていることである。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップアップして始まり短陽線で終え、5月13日の戻り高値@38,494円目前まで上昇した。このまま勢いに乗り一気に上放れするか、或いは、下に弾き返されるか?
33業種中30業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、輸送用機器(2位)、保険(3位)、サービス(4位)、電気機器(5位)となった。
夏場に弱い日本株の「体質」は今年はどうなるか
05月29日
昨日の米国株式相場は大幅高となった(DJIA +740.58 @42,343.65, NASDAQ +461.96 @19,199.16, S&P500 +118.72 @5,921.54)。ドル円為替レートは144円台前半の前日比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が792に対して、下落銘柄数は763となった。騰落レシオは122.22%。東証プライムの売買代金は4兆2870億円。
TOPIX ±0 @2,770
日経平均 -2円 @37,722円
米国では、トランプ米大統領が先週金曜日にEUに対して50%の関税を6月1日から課すと表明していたが、フォンデアライエン欧州委員長との電話で話し合いの結果、先週日曜日に関税発動を7月9日前延期すると発表した。これにより貿易摩擦の激化懸念が後退し、主要3株価指数は大幅高となった。
本日5月28日の東京市場では、米国株高の流れを受けて、主力株を中心に上げた。日経平均の上げ幅は一時450円を超え、心理的節目の38,000円台を回復する場面もあったが、日経平均は陰線で終え、前日比小幅安となった。
米国の関税政策の不透明感、日米の財政赤字・不安が根強く、これが株式相場という「空」が晴れ渡れない主な理由である。日本をはじめとする各国のアメリカとの関税交渉がテキパキと進展しないと、相互関税の上乗せ率の猶予期限である7月上旬が来てしまう。さらに、何もなくても日本株は夏場に弱くなりやすい「体質」である。
需給面で考えると、株価が上げやすいタイミングではある。5月下旬から6月末までに企業が支払う配当総額は約10兆3000億円である。6月30日が1日当たりで最高額の1兆8000億円が支払われる見通しである。ただ、パッシブ運用型の年金基金は既に3月末の配当落ちのタイミングで、受け取る予定額分を株価指数先物で買ってあるため、新たに買い需要が起こるわけではない。それでもアクティブ運用型の機関投資家や個人投資家は実際に配当金を受け取ってから再投資するので、その分の買い需要が発生する。ただ、トヨタグループの企業のように株主総会を待たずに、既に配当を支払い始めている企業もある。
日経平均の日足チャートを見ると、ギャップアップして始まったが、利食い売りに押されて陰線で終えた。米国株の大幅高という株価材料で上げたが、寄付きが最高値だったということは日本株は独自にこれ以上高くなることが当面の間は難しそうだ。
33業種中17業種が上げた。上昇率トップ5は、保険(1位)、石油・石炭(2位)、水産・農林(3位)、空運(4位)、医薬品(5位)となった。
材料不足の中、3日続伸
05月27日
昨日の米国株式相場は祝日のため休場だった。ドル円為替レートは143円台前半での動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プラムでは、上昇銘柄数が1,115に対して、下落銘柄数は437となった。騰落レシオは130.92%。東証プライムの売買代金は3貯3198億円。
TOPIX +18 @2,769
日経平均 +193円@37,724円
前日の米国株式相場はメモリアルデーの祝日のため休場だったことで材料不足の中、本日5月27日の東京市場では、後場に外為市場で円安ドル高が進み、TDK、リクルート、ソニーグループなどの主力株が買われて日経平均は上昇した。財務省が6月20日に債券市場参加者を集めて超長期金利の上昇について議論する会合を開くと報道されると、国内債券市場では超長期金利が低下し始めた。日米金利差の縮小を意識した円売りドル買いが進み円安ドル高となり、トヨタ自動車など自動車関連銘柄が買われた。他方、前日まで買われていた東京エレクトロンなど半導体関連銘柄は利益確定売りに押された。終わりが一向に見えないロシアのウクライナ侵攻、中国および北朝鮮の高まる軍事的脅威、アメリカからの軍事費拡大の要求などを鑑みると、日本は中長期的な防衛費の増強が不可避であることを背景に重工銘柄は上昇基調にあるが、本日は特に川崎重工が上げた。
日経平均の日足チャートを見ると、陽線で3日続伸してやや下向きの10日移動平均線の上に再浮上した。このまま戻りを続けるとしたら、5月13日の戻り高値@38,494円が目前の上値抵抗線として意識される。
33業種中25業種が上げた。上昇率トップ5は、その他製品(1位)、非鉄金属(2位)、保険(3位)、機械(4位)、繊維機械(5位)となった。
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